貸倉庫経営の土地活用は儲かる?メリット・デメリットと稼ぐコツ

貸倉庫 経営

貸倉庫経営は、マンション経営等と比較すると初期費用や管理の手間が少ないため、土地活用の方法として気になっている人も多いでしょう。

ただし、貸倉庫経営には複数の経営形態がありデメリットも存在するため、正しい知識を得ずに始めてしまうと、損をしてしまう可能性が高いです。

そこで本記事では、貸倉庫経営での土地活用について、基礎知識やメリット・デメリット、稼ぐコツまで解説します。ぜひ参考にして、貸倉庫経営を始めるかの判断材料としてください。

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貸倉庫経営の基礎知識

貸倉庫経営の基礎知識として、次の3つのことを解説していきます。

  • 貸倉庫経営は屋内型と屋外型の2パターン
  • 経営形態は5種類
  • トランクルーム経営との違い

それぞれ詳しくみていきましょう。

貸倉庫経営は屋内型と屋外型の2パターン

貸倉庫経営は、建物のなかを区切って倉庫にする屋内型と、土地にコンテナを設置する屋外型の2パターンがあります。それぞれの特徴を表にまとめました。

種類 特徴
屋内型 ・土地にビルを建てて区切りを設けて貸し出し
・収納スペースは温度管理可能
・土地なしでも空き部屋や空きフロアの購入・賃貸で始められる
・都市部向け
屋外型 ・土地にコンテナを設置するだけ
・撤去が容易
・郊外向け

屋内型は、土地にビルを建てるため経営を始めるまで時間と費用がかかります。しかし収納スペースは温度管理がされているため、機械類や湿気に弱いものを保管したいと考えている利用者もターゲットにすることができます。また、土地の高さを活かして上の階にも収納スペースを設置すれば、より多くの利用者を募ることが可能です。

屋外型は、土地にコンテナを設置するだけのため、貸倉庫経営を始めやすく将来の撤去も容易です。郊外の土地でも車でアクセスできるなら集客を見込めます。

経営形態は5種類

貸倉庫の経営形態は、経営の負担が重い順に次の5つがあります。

経営形態 経営の負担
自主経営 ・準備から管理まですべて自力
・集客や管理のノウハウ蓄積が必要
フランチャイズ ・ノウハウはフランチャイズ本部から提供
・専用の管理システムがあると経営の負担は軽減
業務委託 ・準備や経営方針は自力で決定
・日々の管理を委託
サブリース ・自身は貸倉庫を用意するだけ
・業者に一括で貸し出し管理の負担なし
事業用定期借地 ・業者に土地を貸し出す
・貸倉庫経営は業者がおこなう

初めての貸倉庫経営でノウハウがない人は、自主経営は難しいかもしれません。フランチャイズであればマニュアルがすでに用意されているため、ノウハウを蓄積しつつ経営に関わることができます。

経営に関わりたくない場合は、事業用定期借地で土地を貸し出すとよいでしょう。

トランクルーム経営との違い

貸倉庫経営とトランクルーム経営は、倉庫業法により荷物の保管責任で大きな違いがあります。貸倉庫経営では、利用者と賃貸借契約が結ばれ、倉庫業法は適用されません。保管されている荷物にトラブルがあっても、責任は利用者が負います。

トランクルーム経営では、寄託契約で倉庫業法が適用されます。荷物のトラブルの責任は経営者側にあり、利用者から損害賠償を求められることもあります。リスク回避のため、賠償保険への加入検討が必要です。

また、荷物の出し入れの方法にも違いがあります。貸倉庫は利用者が自由に出し入れできるのに対し、トランクルームは事前申請や業者が荷物の出し入れをおこないます。

貸倉庫経営で土地活用する4つのメリット

貸倉庫経営で土地活用を始めるメリットは次の4つです。

  • 少額の初期費用でも始められる
  • 利回りが高い
  • 手間をかけずに経営をしやすい
  • 居住に不向きな立地でも稼ぎやすい

なぜこのようなメリットがあるのか1つずつ解説していきます。

少額の初期費用でも始められる

すでに土地を所有していて、事業用定期借地で経営するのであれば、初期費用は0円で始められます。サブリースであれば、初期費用を業者に負担してもらい毎月の利益から返済する形で、預貯金からの出費はなくなります。

自己負担で倉庫を用意する場合でも、屋外型は数百万円から始められます。建物なしの屋外型なら、融資不要でも始めやすいです。

利回りが高い

貸倉庫経営の利回りは15~20%が目安で、5~10%のアパートやマンションの賃貸経営より高くなっています。早ければ初期費用を5年程度で回収でき、以降の利益は事業の拡大や別の資産運用に回すのもよいでしょう。

利回りの計算方法や、貸倉庫経営のランニングコストは次のようになっています。

利回り=(年間収益-ランニングコスト)÷初期投資✕100

ランニングコストの内訳(経営形態によって異なる)

  • フランチャイズのロイヤリティ
  • 管理の委託料
  • 照明・空調・セキュリティなどの光熱費
  • 集客の広告費
  • 土地や建てたビルの固定資産税・都市計画税
  • 利益に対する所得税・住民税

注意点として、利回りは高いですが稼ぎが多いとは限りません。初期投資が異なるため、利回りの低い賃貸マンション経営の方が稼げる場合も多いです。

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手間をかけずに経営をしやすい

貸倉庫経営は、自主経営であっても日頃の業務や掃除、点検がメインで、経営に手間がかかりません。空きが出たときの募集は必要ですが、居住用の賃貸経営と違い利用者による人間関係のトラブルもありません。

いきなり自主経営するのが不安な人は、フランチャイズにしておくと必要な知識を学べます。マニュアルにしたがっておけば、大きな失敗はしにくいです。

また、業務委託やサブリース、事業用定期借地での経営ならば、自身での管理事態が不要です。本業が忙しい人、相続した遠方の土地を活用したい人でも、容易に経営を続けられます。

居住に不向きな立地でも稼ぎやすい

貸倉庫は、物を運び入れやすいよう、車でのアクセスがよければ集客に期待できます。そのため居住用に向かない、次のような土地の活用に向いています。

  • 最寄りの駅から遠い
  • 周囲に商業施設や公共施設がない
  • 日当たりが悪い
  • 騒音がある

1度荷物を入れると、利用料だけ振り込み年単位で現地に行かない人もいます。活用には不向きなのではと思っている土地は、貸倉庫経営を候補に入れておきましょう。

貸倉庫経営で土地活用する4つのデメリット

初期投資は少額で管理の手間のかからない土地活用方法ですが、次の4つのデメリットがあります。

  • 認知・集客までに時間がかかる
  • 土地の税金の優遇措置がない
  • 用途区域によっては貸倉庫経営ができない
  • 融資を受けにくい

対処方法がないデメリットもあるため、納得してから土地活用を始めるようにしてください。

認知・集客までに時間がかかる

貸倉庫経営は、居住用の賃貸と違い一般的にあまり利用頻度が多くありません。個人での利用は少なく、ターゲットは限られています。貸倉庫そのものを認知していないケースもあり、周知が必要です。

また、情報発信するための媒体も限られます。インターネット上には全国の貸倉庫を取りまとめて検索できるサービスはありますが、集客の効果は未知数です。ターゲットとなるエリアの個人や法人へ、周知を続けるしかありません。

もし周囲に競合ができると、さらに集客に時間がかかりやすくなります。

土地の税金の軽減措置がない

貸倉庫経営を始める土地では、次の固定資産税・都市計画税の軽減措置が適用されず、満額の納税が必要です。

適用されない理由は、貸倉庫が住宅用とみなされないためです。空き家を解体して貸倉庫経営を始める場合は、建物の税負担がなくなっても、軽減措置なしの土地部分だけで、出費は増えるかもしれません。

用途地域によっては貸倉庫経営ができない

用途地域とは、都市計画法で土地ごとに定められた利用方法の制限です。13種類の区分けがあり、次の3つに該当する土地では、貸倉庫経営を始められません。

  • 第一種低層住居専用地域:高さ10~12m以内の住居のみ建築可能
  • 第二種低層住居専用地域:住居だけでなく150平米までの店舗は建築可能
  • 第一種中高層住居専用地域:住居だけでなく大学や病院500平米までの店舗建築が可能

所有する土地がどの用途地域なのかは、最寄りの自治体の窓口に問い合わせるか、公式サイトで検索をしてください。5年に1度見直されるので、土地活用を決意した時に最新情報を確認しましょう。

融資を受けにくい

貸倉庫経営の場合、アパートやマンションの賃貸経営より収益の安定性が落ちるため、倉庫部分を担保にできず融資を受けにくいです。土地だけの担保で審査に通過できないならば、頭金を増やすことを検討しましょう。

融資に不安がある人は、初期費用が少ない屋外型やサブリースを選択しましょう。

貸倉庫経営の土地活用で稼ぐコツ

貸倉庫経営は始めるハードルが低い土地活用でも、儲かるかどうかは別問題です。稼ぐためには、次の4つのコツを実践しましょう。

  • ニーズを調査して収益をシミュレーション
  • 貸倉庫の専門業者に相談
  • 近隣の相場に合わせて賃料設定
  • 駐車場経営と組み合わせて土地活用

ニーズを調査して収益をシミュレーション

そもそも所有する土地の立地で、貸倉庫のニーズはあるのでしょうか。利用者が見込めないのに、立派な倉庫を建ててしまうと、融資の返済もままなりません。

事前に収益をシミュレーションして、想定している設備ではどれだけの利回りがあるのか見当をつけてください。集客に時間がかかることや空きが生まれることも考慮して、納得できる収益があれば準備を進めましょう。別の土地活用とも収益やリスクを比較すると、本当に貸倉庫経営を始めてよいのか判断しやすいです。

どの土地活用にもニーズがない場合は、売却を検討したほうがよいです。まとまったお金があれば、別の資産有用で稼げます。

土地の最新相場を知りたい人は、次の記事でおすすめしている不動産一括査定を利用しましょう。

関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2023年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も

貸倉庫の専門業者に相談

初めての土地活用で、貸倉庫経営をすべて自力でおこなうのは難しいです。関連書籍やセミナーで勉強したつもりでも、見落としはあり得ます。貸倉庫の専門業者へ相談すれば、必要なことはフォローしてもらえます。

相談する際は、自身の希望を明確にしておくとよいです。それによって屋内と屋外のどちらがよいかや、経営形態の種類の絞り込みをできます。相談は無料ですので、些細と思えることでも不安は解消してください。

業者は土地活用の比較サイトで探す

相談する業者を探すならば、土地活用の比較サイトの利用をおすすめします。立地や希望の土地活用を指定するだけで、無料で複数社へプラン作成の依頼が可能です。

登録業者はサイト側で優良なところが厳選され、希望の入力で対応可能なところをピックアップしてくれます。自身で探すより効率的で、貸店舗経営以外の土地活用も検討しやすいです。

比較する業者によっては、同じ土地活用でも見込める収益が違います。収益が高く説得力があるプランを出したところに問い合わせ、担当と詳細をつめてみましょう。

近隣の相場に合わせて賃料設定

貸倉庫経営で、継続して利用者を確保するには、賃料設定は近隣の相場に合わせる必要があります。自身の利益を優先して高額に設定しても、利用者が現れなければ固定資産税も収益から払えません。

相場の参考にする競合は、貸倉庫に空きが少ない業者です。空きが多いところの賃料設定は、ニーズにあっていないため参考になりません。

賃料設定をする際の注意点は、安易な値下げをしないことです。資金に余力がないと収益が減り、継続が困難になります。長期契約で割安にしたり付加サービスを始めたりして、競合との違いを出しましょう。

駐車場経営と組み合わせて土地活用

貸倉庫だけでは赤字になりそうな土地も、駐車場経営と組み合わせると、黒字を維持できる可能性があります。屋外型でコンテナを設置するのであれば調整は容易で、空きスペースを月極やコインパーキングに使えます。

最終的にどちらをメインの事業にするかは収益次第です。組み合わせをしやすいよう、相談をする業者は貸倉庫と駐車場の両方に対応できるところを選びましょう。

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貸倉庫経営でよくある疑問

最後に、貸店舗経営でよくある次の3つの疑問を解説します。

  • 田舎でもニーズはある?
  • すぐに辞められる?
  • 確定申告の方法は?

経営を開始してから後悔しないため、準備段階で不安は解消しましょう。

田舎でもニーズはある?

田舎の家は広いため貸倉庫のニーズはないと思っていませんか。実は、空き家を手放したい人に家財の保管先として、貸倉庫のニーズがあります。

例えば、両親が住んでいた田舎の家を相続した際、家財が残ったままだと売却が困難です。すべて処分するには高額な費用がかかり、思い出があるものは残しておきたくなります。そのような時、貸倉庫があれば家財は撤去でき、売却を進められます。

空き家バンクを運営している自治体と連携できると、自治体は空き家が減り貸倉庫経営は集客の手間が省けます。実際に貸倉庫経営を始める際は、自治体の担当にアピールしてみましょう。

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すぐに辞められる?

すぐ辞められるかは、経営形態によります。自主経営で融資を受けていないならば、いつでも辞められます。多少の損失が出ても、早々に見切りをつけ別の土地活用で稼げると、長期的にはプラスになるでしょう。

残りのフランチャイズ・業務委託・サブリース・事業用定期借地は、契約内容で、辞めやすさが変わります。途中の解約は違約金が発生する可能性が高く、支払えるならば即辞められるでしょう。

業務委託で月単位の契約をしている人は、期限まで続けるのもよいです。事業用定期借地の場合は、建物があると撤去までに時間がかかります。将来辞めることまで考慮して、経営形態や契約年数を選ぶと、後悔のリスクは下がります。

確定申告の方法は?

確定申告は、貸倉庫経営の収益や他の資産運用を含め、副収入が年間20万円を超える必須です。毎年2月16日~3月15日頃が提出期限で、忘れていると罰則があります。

貸倉庫経営の収益は不動産取得に分類され、国税庁のe-Taxを利用すると、計算間違いはなくなり提出も簡単です。所得税の青色申告承認申請書という書類を税務署に提出しておくと、通常より控除額が多い青色申告が可能です。

実際に確定申告をするときは、ランニングコストを漏れなく計上し、課税対象の収益を小さくして節税に努めましょう。確定申告でわからないことは税務署で無料相談できます。

まとめ

貸倉庫経営は、屋内型と屋外型の2パターンがあり、経営形態によっては初期費用なしでも始められる土地活用です。ノウハウがゼロからでも、フランチャイズやサブリースで収益を狙えます。

利回りは15~20%と土地活用の中では高く、早期に初期費用の回収が可能です。その代わり賃貸経営のように、高額の稼ぎにはなりにくいです。

メリット・デメリットに納得し、業者への相談やシミュレーションをしてから、貸倉庫経営を始めましょう。

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