「相続や購入などで手に入れた土地を有効活用できていないか」と考えている人のなかには、駐車場経営に興味を持つ人もいることでしょう。
駐車場経営は、マンション経営などと比較すると初期コストを抑えられるため、初心者でもチャレンジしやすい土地活用の一つです。最初の一歩踏み出す前に、駐車場経営のメリット・デメリットや、失敗しないためのポイントを知っておきましょう。
この記事では、駐車場経営の基礎知識を詳しく解説します。土地活用の方法として駐車場経営を検討している人はぜひ参考にしてください。
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目次
土地活用で駐車場経営をする4つのメリット
まずは、土地活用で駐車場経営をする場合に得られるメリットを把握しましょう。代表的なメリットは、次の4つです。
- 初期費用が安い
- 土地の狭さや形が影響しにくい
- 経営の負担が少ない
- 準備や転用が簡単
それぞれのメリットの詳細を解説します。
初期費用が安い
土地活用として駐車場経営を選ぶ際の大きなメリットの一つに、初期費用の安さがあります。土地をすでに所有している人は、サブリース(一括借り上げ)ならば自己負担0円からでも駐車場経営を始められるでしょう。
アパートやマンション経営のように、費用をかけて建物を建てる必要はありません。しかし、月極駐車場とコインパーキングでの初期費用が異なる点には注意しておきましょう。特にロック式コインパーキングの車止めやゲート式コインパーキングの入口施設などには相応の費用がかかります。
月極駐車場 | コインパーキング | |
必須の費用項目 | 整地・ライン引き・車止めの設置費用 3,000~4,000円/㎡ |
アスファルト舗装費用:4,000~6,000円/㎡ 精算機:40~50万円 証明・看板:20~70万円 |
必要に応じた費用項目 | アスファルト舗装費用:4,000~6,000円/㎡ コンクリート舗装費用:8,000~10,000円/㎡ |
ロック式パーキングの車止め:4000円/台 ゲート式パーキングの入口施設:50~60万円 |
比較的きれいな土地の月極駐車場であれば、整地などの費用は最小限に抑えられるでしょう。さらに費用をかけずに駐車場をはじめたい場合には、サブリースで土地を業者に貸出す運営方法がおすすめです。
土地の狭さや形が影響しにくい
駐車場経営には、土地の狭さなど形状で大きな制約を受けにくいというメリットがあります。例えば、家などの建物を建てる場合には、土地の形状や面積が非常に重要な要素となりますが、駐車場は数台分の駐車スペースが確保できれば経営を開始することができます。
特に、三角や台形など、建物を建てるのには向かない形状の土地でも駐車場としての活用は十分に考えられます。従来活用の難しかった土地も有効に使うことができ、土地の価値を最大限に引き出すことが可能となるでしょう。
土地の形状や面積に問題があり、土地活用を諦めていた人にとって、駐車場経営はおすすめの選択肢です。
経営の負担が少ない
駐車場経営は、他の土地活用方法と比較して経営の負担が少ない傾向にあります。特に、管理業務をすべて専門の業者に委託する運営方法を選んだ場合は、ほとんど経営の負担はありません。オーナーは日々の運営や管理に手間をかけることなく、安定した収益を得られるでしょう。
「土地活用には経費がかかる」「本業が忙しいので経営に時間をかけていられない」と考えていた人でも、駐車場経営ならば土地活用の一歩を踏み出しやすくなるでしょう。
準備や転用が簡単
駐車場経営には、準備にかける手間と期間が少ないというメリットもあります。土地に建物を建てる必要がないため、約1ヵ月程度で駐車場経営を開始することが可能です。
また、転用が簡単な点も大きなメリットです。駐車場経営をやめて他の用途に転用したい場合は、契約内容によりますが一般的には月極の契約であっても1ヵ月前に予告すれば退去をしてもらうことができます。
土地をそのまま活用できる点や、短期間での運営開始が可能な点は、土地所有者にとって魅力的なポイントとなります。「将来的には家や店舗を建てたいが、具体的な予定は立っていない」「今は更地に近いまま土地を維持しておきたい」という人にも、駐車場経営は最適です。
土地活用で駐車場経営をする3つのデメリット
土地活用における駐車場経営には大きなメリットがありますが、一方で次のようなデメリットがあることも否定できません。次の3つのデメリットを把握しておきましょう。
- 儲からない
- 税金の優遇措置がない
- 差別化が困難
駐車場経営を始める際には、これらのポイントを把握し、注意しておくことが大切です。それぞれのデメリットの詳細を解説します。
儲からない
駐車場経営はアパートやマンション経営などと比較すると、あまり儲からないといえるでしょう。特に月極駐車場の場合、東京であっても1台あたりの月額料金は2万円程度、地方では5,000円以下となることがほとんどです。
土地の高さを活かすこともできないため、賃貸経営等と比較すると面積あたりの収益性が劣ることは否めません。立体駐車場であれば高さを活かした活用が可能ですが、大きな構造物を建てることになるため、多くのメリットと引き換えになってしまいます。
人口密集地に近いほど駐車場経営の収益は増大しますが、それでも高収益を期待するのは難しいといえます。駐車場経営は収益性を期待しておこなうより、「土地を無駄にしない」「税金を支払うだけの状態にしない」ためにおこなう手段と割り切ったほうが賢明でしょう。
税金の優遇措置がない
駐車場経営にはアパートやマンション経営のような税制上の優遇措置がありません。アパート経営や一戸建ての賃貸経営など住宅用地としての土地活用の場合には、固定資産税の優遇措置が受けられますが、駐車場の場合は優遇措置がありません。
固定資産税の優遇措置は、土地の固定資産税を最大6分の1に軽減することができますが、住宅認定を受ける必要があります。駐車場は住宅と認められないため、固定資産税を満額納税しなければなりません。
差別化が困難
初期費用の低さや経営の容易さから、駐車場経営は多くの競合が生まれやすいビジネスです。しかし、月極駐車場であれ、コインパーキングであれ、料金設定以外でのサービスの差別化は非常に難しいと言われています。
料金設定以外の差別化には、次のようなものが考えられます。
- 駐車スペースの幅
- 清掃頻度
- 防犯設備
- 屋根付き
料金設定での差別化で値下げをおこないすぎると利益も低下してしまいます。駐車場経営は、競合が発生することを折り込みの上ではじめましょう。
駐車場経営の種類
土地活用の対象となる駐車場には、大きく分けて2つの種類が存在しています。
- 月極駐車場
- コインパーキング
駐車場の種類ごとに特性やメリット、デメリットも異なるため、どちらが自分の土地に合っているかを考えることが大切です。それぞれの駐車場の詳細を解説します。
月極駐車場
月極駐車場は、利用者と1ヵ月単位で契約を結ぶタイプの駐車場です。特別な設備は必要なく、駐車スペースの区切りをするだけで運営を始めることができます。
月極駐車場のメリットとデメリットは次の表のとおりです。
月極駐車場のメリット | 月極駐車場のデメリット |
初期費用が安い 個人経営をおこないやすい |
収益性が低い 不正駐車に注意する必要がある |
コインパーキングと比べると収益性が低くなる傾向がある一方、初期費用や管理コストを抑えながら始められます。なるべく手間をかけずに駐車場経営をはじめたい方は月極駐車場がおすすめです。
コインパーキング
コインパーキングは都市部を中心によく見られる駐車場形式の一つです。精算機や車両止めのロック、出入口のゲートを設置し、利用時間に応じて料金を徴収するシステムとなっています。
コインパーキングのメリットとデメリットは次の表のとおりです。
コインパーキングのメリット | コインパーキングのデメリット |
立地によっては収益性が高い 土地を業者に貸す方法も有効 |
初期費用がかかる 管理の手間から個人経営は難しい |
コインパーキングは、駅や繫華街、商業施設の近くなど車両の交通量が多い場所であれば、高い収益を見込める選択肢です。専用の機械を導入する必要があるため初期費用や管理の手間がかかりますが、土地を業者に貸しだす運営方法を選択すれば比較的簡単に始めることができます。
駐車場経営の運営方法3パターン
駐車場を自分で運営するべきかどうかは、土地のオーナー個々人のニーズによって異なるでしょう。自分に合った運営方法を選ぶことが大切です。
駐車場経営の運営方法を、次の3パターンから紹介します。
- 個人経営
- 管理委託
- サブリース(一括借り上げ)
それぞれの運営方法の詳細を解説します。
個人経営
個人経営は、自身で駐車場経営の準備から集客・集金・清掃などの管理業務をおこなう運営方法です。外部の業者を利用せずに自らの手で業務を遂行することで、収益の増加が期待できます。一方、業務のすべてを一人で担当するため、時間や労力がかかる点は無視できません。
個人経営のメリットとデメリットは次の表のとおりです。
個人経営のメリット | 個人経営のデメリット |
収益を最大化できる 小規模な駐車場経営に向いている |
設備費用を自己負担しなければならない 管理に時間や手間がかかる |
管理会社を挟まず駐車場を経営するため手数料がかからず、収益はすべて自分の手元に残ります。しかし、設備費用は完全自己負担となるため、コインパーキングのような機材導入が必要な駐車場経営は難しいでしょう。売上管理や集金、集客、トラブル対応もすべて自分でおこなう必要があります。
管理委託
管理委託は、駐車場の準備まではオーナーがおこない、経営開始後の管理を業者に委託する運営方法です。管理の手間をかけずに駐車場経営をおこなえますが、利益の内、一定額を管理料として支払う必要があります。また、料金設定もオーナーの仕事です。
管理委託のメリットとデメリットは次の表のとおりです。
管理委託のメリット | 管理委託のデメリット |
管理の手間がかからない 経営アドバイスを受けられる |
手数料がかかる 料金設定は自分でおこなう |
手数料がかかるものの、料金滞納時の対応や掃除などの管理の手間はかかりません。料金設定など一定の手間もかかりますが、管理会社側からアドバイスを受けられる場合もあります。管理委託で駐車場経営をおこなう場合は、対応が親切な業者を選ぶことが大切です。
サブリース(一括借り上げ)
サブリース、または一括借り上げは、業者に経営をすべて委託する運営方法です。土地を貸し出すだけなので管理の手間は一切かかりませんが、駐車場の利用状況に関わらず収益は一定です。
サブリースのメリットとデメリットは次の表のとおりです。
サブリース(一括借り上げ)のメリット | サブリース(一括借り上げ)のデメリット |
駐車場経営をすべて任せられる 定期収入を得られる |
収益性は低い 賃料が途中で下がる可能性がある |
駐車場経営で必要な手間はかからず、定期収入が得られることがサブリースの最大の利点といえるでしょう。多忙で駐車場経営に関わる時間のない人にはおすすめのサービスとなります。一方、他2つの運営方法よりも収益性は低く、利益率によっては賃料が下がる可能性を踏まえる必要があります。
月極駐車場とコインパーキングはどちらがおすすめ?
駐車場経営の種類や運営方法を紹介しましたが、「結局どの駐車場経営がいいの?」と思っている人もいるのではないでしょうか?
ここでは、月極駐車場とコインパーキングにそれぞれ向いている人や土地について解説します。
ローリスクローリターンな月極駐車場
月極駐車場は、収益に上限があり利回りはコインパーキングより低い傾向です。リターンが少ないため、土地を購入して月極駐車場を経営するのは、初期費用の回収にかなりの時間がかかりおすすめできません。
そのため、月極駐車場の経営は、土地をすでに持て余している人に向いています。空車や滞納のリスクはあるものの、初期費用やランニングコストが少ないためローリスクといえるでしょう。
短期間での大きな収益は得られませんが、長期間焦らず経営を続けたいと考えているオーナーにおすすめです。
また、立地条件から考えると、月極駐車場に向いている土地は、集合住宅や中規模オフィスビルの近辺です。
立地によってはハイリターンなコインパーキング
これから駐車場経営のための土地を探すという人は、ハイリターンを狙えるコインパーキング経営がおすすめです。すでに土地を持っている人も、観光地や人気店舗の近く、さまざまな店が立ち並ぶ表通りや街道沿いなどのエリアに土地があれば、高い利回りを期待できます。
ただし、設備の不具合などが起きる可能性もあるため、24時間トラブル対応できるように備えておく必要があり、完全に個人経営するのは難しいでしょう。コインパーキングは大手業者が運営していることも多く、周辺エリアに大手業者が参入している場合は、値下げ競争に負けてしまい空車リスクがあがる可能性もあります。
そのため、コインパーキングを経営するのであれば、運営方法は管理委託かサブリースがおすすめです。
土地活用で駐車場経営を始める際の疑問
土地活用で駐車場経営をおこなう人や、おこないたいと考えている人が抱きがちな疑問とその答えを、2つピックアップして紹介します。
- 土地なしで始めても駐車場経営は儲かる?
- 確定申告は必須なのか?
あらかじめ疑問を解消しておき、スムーズに駐車場経営をおこなえるようにしましょう。
土地なしで始めても駐車場経営は儲かる?
土地を購入する必要があるため初期費用はかかりますが、駐車場のニーズが高い土地を選べば高収入を期待できます。業者に運営を委託する管理委託やサブリースを選択すれば、管理の手間がかからないため、副業で始める人も少なくありません。
土地なしの状態からの駐車場経営には、土地を選べるというメリットがあります。十分な費用がある場合には新たに土地を取得し、駐車場経営をおこなうことも選択肢に入るでしょう。
確定申告は必須なのか?
確定申告の義務が発生するかどうかは、年間収入によって決まります。給与所得以外の収入が20万円を超えた場合には確定申告が必須です。申告項目は不動産所得と事業所得、雑所得のいずれかに該当しますが、運営形態や事業的規模などによって変わります。
駐車場で得た収益は、青色申告をした際に最大65万円の特別控除が得られますが、不動産所得として申請する場合は50台以上の駐車スペース、または建築物が必要条件となります。事業所得の場合は具体的な規定はないものの、相当の事業規模が認められる必要があるでしょう。
駐車場それぞれが持つ性質や事情により、所得の区分は異なります。申告事項に不安がある場合には、税務署で相談してみましょう。
まとめ
駐車場経営は準備や転用が簡単で、短期間で開始できる点は魅力的ですが、一方で儲かりにくいことや立地を選ぶことには注意が必要です。自分の土地の活用プランをいくつか組み立てておき、その一つとして駐車場経営を検討しましょう。
立地などの課題をクリアできたら、駐車場経営を始める準備をおこないましょう。駐車場経営の運営方法には、個人経営、管理委託、サブリースの3種類があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。収益性や手間の観点から運営方法を選びましょう。
駐車場経営には、ニーズの調査や現実的な数字でのシミュレーションが欠かせません。楽観的な視点は経営の失敗にもつながります。駐車場経営を始める前には、堅実な目線での検討を重ねておきましょう。