駐車場経営の初期費用はいくら?月極とコインパーキングそれぞれの内訳も解説

土地活用や不動産投資で駐車場経営を始める場合、初期費用はいくらかかるのでしょうか。アパートやマンション経営と違い建物が不要なため、比較的少ない初期負担で始められるでしょう。

本記事では、駐車場経営の初期費用について、総額や月極・コインパーキングそれぞれでの内訳を紹介。初期費用回収のコツも解説するで、ぜひ参考にして駐車場経営を始めてください。

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駐車場経営の初期費用は最低0円

駐車場経営の始め方は、所有している土地を利用するか、土地を購入して始めるかの2通りがあります。相続などですでに土地を所有しているならば、初期費用は最低0円に抑えることが可能です。ここでは、0円で駐車場経営を始める方法と、すでに土地を所有している場合にかかる初期費用について解説していきます。

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土地ありサブリースなら初期費用は0円

すでに土地を所有している人の場合、経営方法によっては初期費用0円で駐車場経営を始めることが可能です。経営方法には、サブリース、管理委託、自主管理の3パターンがあります。

管理委託と自主管理を選ぶと、駐車場経営を始めるための初期費用として土地の整備費用が必要です。しかし、サブリースならば初期費用は0円にできます。

経営方法 概要 初期費用
サブリース ・土地を駐車場の運営会社に貸し出し
・各種設備は運営会社が負担
・利益から経費を差し引いた一定の賃料を毎月受け取る
0円~
管理委託 ・自身で駐車場経営に必要なものを用意
・日々の管理を業者へ委託
200~500万円(5~10台規模を想定)
自主管理 ・自身で駐車場経営に必要なものを用意
・日々の管理を自身でおこなう
200~500万円(5~10台規模を想定)

サブリースは、本来かかる初期費用を利益から経費として差し引くため0円にできます。月極でもコインパーキンでも変わらず、始めるハードルは下がります。自主管理や管理委託でも、初期費用は200万円程度からのため、融資なしでも始めやすくはなっています。

土地なしの場合の初期費用

土地なしから駐車場経営を始める場合、サブリースでは土地を借りて駐車場経営を始めます。賃料は経費に上乗せされるため、初期費用は0円にできます。

自主管理や管理委託では、上記の初期費用に追加で土地の購入費用が必要になります。1坪あたり数千~数百万と地域によってバラツキは大きいです。最新の相場は、国土交通省が運営する土地総合情報システムの、地価公示・都道府県地価調査で検索可能です。

土地の購入費用は、不動産投資ローンなどで金融機関から融資を受けられます。金融機関によっては、頭金なしでも不動産投資ローンを組めますが、審査の難易度は上がります。

駐車場経営の初期費用の内訳

管理委託や自主管理で駐車場経営を始める際の、初期費用の内訳はどのようになっているのでしょうか。

未舗装の更地を所有している前提で、月極とコインパーキングに分けて、内訳を解説していきます。

月極駐車場の経営に必要な初期費用

月極の場合、土地の整備方法別に内訳は次のようになっています。

未舗装 アスファルト コンクリート
・土地の整地:3,000円~/㎡
・区画のためのロープ:40円~/m
・車止めのブロック:7,000円~/1台
・整地+アスファルト舗装:5,000円~/㎡
・ライン引き:6万円~/5台分
・駐車場の番号表記:700円~/1台
・車止めのブロック:7,000円~/1台
・整地+コンクリート舗装:8,000円~/㎡
・ライン引き:6万円~/5台分
・駐車場の番号表記:700円~/1台
・車止めのブロック:7,000円~/1台

車1台あたりの駐車スペースは、横2.5m・縦5mの12.5㎡が標準です。前面の道路に面した土地で、車5台分の面積をすべて駐車スペースにできると、土地の整備だけで最低でも20万円程度はかかるでしょう。さらに駐車場としての体裁を整え利用しやすくするため、必要によっては次の費用もかかります。

  • 地盤調査:500~1,500円/㎡
  • 排水設備:20万~100万円
  • 看板:3万~30万円
  • 照明:1万~3万5,000円/台
  • セキュリティカメラ:3万~13万円/台

土地の広さや形によっては駐車台数を増やす場合、通路の確保も必要です。

コインパーキングの経営に必要な初期費用

コインパイーキングの場合、土地はアスファルトやコンクリートでの舗装が必要です。内訳は上記で紹介した月極の初期費用に加え、各種の設備で次の費用がかかります。

  • 精算機:40万~100万円/1台
  • ロックする板::10万~25万円/1台
  • 機器の設置費用:50万円~
  • フェンス(設置費用込み):1万5,000~3万5,000円/m

5台程度の小規模なコインパーキングでも、月極より200万円ほど高くなると見積もっておきましょう。

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土地の状態によって必要になる初期費用

土地の状態によっては、追加で費用がかかる可能性もあります。例えば、土地に建物が残っているなら解体費用傾斜がある場合は造成費用などです。

自身が所有する土地にも当てはまる場合は、解体や造成に必要になる費用相場をチェックしておきましょう。

建物の解体費用

建物の解体は、相続した家の土地や購入した古家付きの土地で、駐車場経営を始める際に必要です。建物の構造別に、解体費用の相場は次のようになっています。

構造 相場
木造 3万~5万円/㎡
鉄骨造 4万~6万円/㎡
鉄筋コンクリート造 5万~8万円/㎡

建物にアスベストが使われていると、事前の除去で1㎡あたり2万~8万5,000円かかります。アスベストとは、鉱物繊維の建材で健康被害が出るまでは一般的に使われていました。2023年現在は全面禁止されていますが、1970~1990年代に建てられた建物は要注意です。

解体業者の中には、駐車場の工事まで一括で依頼できるところがあります。早期に駐車場経営を始めたい人は、依頼業者の厳選もしましょう。

土地の造成費用

傾斜のある土地や山林、農地などで駐車場経営を始める際は造成が必要です。主な造成方法とかかる費用は、次のようになっています。

造成方法 概要 相場
整地(平坦な土地) 不要な構造物や資材などを撤去 600~700円/㎡
整地(傾斜のある土地) 土地の傾斜や凹凸をならす 1万6,700~5万1,000円/㎡
伐採・防草 木や草を根から除去 1,000円/㎡
地質変更・地盤改良 液状化などを防ぐため強度をアップ 1,800~2,400円/㎡
土盛 隣接する土地と高さを合わせる 6,600~7,500円/㎡
土止 土盛の崩れを防ぐ工事 5万2,300~7万2,900円/㎡

傾斜のある土地の整地は、傾斜角が大きくなるほど高額です。雑草の除去であれば自身でも可能ですが、その他の造成に関しては専門の業者に依頼することをおすすめします。

駐車場経営の初期費用回収で失敗しない5つのコツ

駐車場経営で初期費用をいつまでも回収できなければ、土地活用や不動産投資として失敗です。サブリースなら一定の賃料がありますが、それ以外の方法で経営する場合は、次の5つのコツを実践しましょう。

  • ニーズのある土地で駐車場経営を開始
  • 競合を踏まえた料金設定
  • ランニングコストを把握・節約
  • 長期的な収益のシミュレーション
  • 隙間スペースで別の土地活用

ニーズのある土地で駐車場経営を開始

駐車場経営で稼ぐ大前提は、利用者を確保することです。空車のスペースが多いほど収益は低く、赤字もあり得ます。そのため、駐車場としてニーズがある土地であるかを判断してから経営を開始してください。

月極とコインパーキングで、それぞれ次のような土地だとニーズがあります。

月極 コインパーキング
・住宅街
・オフィス街
・駅周辺
・駅前
・オフィス街
・観光地
・商業施設の周辺

月極のメインターゲットは、恒常的に駐車スペースが必要な人です。住宅街は2台目以降の駐車スペースの確保、オフィス街や駅周辺はマイカー通勤でニーズがあります。

コインパーキングのメインターゲットは、周辺施設の一時利用です。駅前は駅まで車で行き電車を利用したい人、オフィス街は営業、観光地や商業施設の周辺は、該当場所の利用者にニーズがあります。

競合を踏まえた料金設定

駐車場の利用者は、できるだけ料金が安いところを探します。周辺の競合の相場を踏まえた料金設定にしていないと、誰も利用してくれません。

駐車場経営では、料金設定以外で競合と差を付けにくく、値下げは限界があります。少しでも利用者を増やすため、次のような工夫をするとよいでしょう。

  • 月極:1~2年の長期契約で割安
  • コインパーキング:料金の発生タイミングを工夫(30分毎から10分毎など)

1度変更をしても満足せず、定期的に競合を調査してください。対策されていつの間にか利用者が減少しているかもしれません。

ランニングコストを把握・節約

駐車場経営は、確保した駐車台数と料金設定から、稼ぎの上限は決まっています。手元に残るお金を増やすため、ランニングコストの把握と節約が必要になります。月極とコインパーキングのランニングコストには、次のものがあります。

月極 コインパーキング
・集金費
・清掃費
・保険料
・町内会費
・固定資産税
・都市計画税
・消費税
・所得税と住民税
・個人事業税
・電気代、通信費
・設備のメンテナンス費
・警備員やコールセンターの人件費
・消耗品費、清掃費
・電子決済の手数料
・町内会費、保険料
・固定資産税、都市計画税
・消費税、個人事業税
・所得税と住民

集金費や清掃費など管理に関わる部分は、自己負担を増やすか委託料が安い業者を見つけると節約できます。税金は利益にかかる所得税や住民税であれば、ランニングコストを漏れなく計上して確定申告すると、節税が可能です。

長期的な収益のシミュレーション

駐車場経営にかかる初期費用やランニングコストから、長期的な収益のシミュレーションをしておくと、何年で回収しきれるのか見極められます。例として、月極でのシミュレーション結果を見てみましょう。

  • 1,000万円で60坪の土地を購入
  • 土地の整備で200万円
  • 1万円/月で10台分の駐車スペースを確保
  • 管理の委託料が利益の5%
  • 1年間空きなし
利回り(%)=((10万円-5,000円)✕12)÷(1000万円+200万円)✕100=9.5%

簡略化はしていますが、11年程度で初期費用を回収できます。実際は税金や保険料なども差し引き、競合が増えて収益が落ちることも想定してください。

隙間スペースで別の土地活用

土地の形や面積によっては、車1台分のスペースがなく隙間ができることもあるでしょう。隙間スペースができたら、別の土地活用をするのがおすすめです。隙間スペースで始められて管理の手間もかからない土地活用として、次のものがあります。

  • バイクや自転車の駐車スペース
  • 自販機
  • コインロッカー
  • 看板

コインパーキングを始めるならば電気が確保できているので、自販機やコインロッカーを設置しやすいです。月の利益が数千円でも、年間で万単位のプラスになります。

駐車場経営の基礎知識

実際に駐車場経営を始める前の基礎知識として、次の3について解説していきます。

  • 駐車場経営のメリット
  • 駐車場経営のデメリット
  • 駐車場経営を始める流れ

初期費用だけでなく駐車場経営のメリット・デメリットも知ってから、土地活用や不動産投資に挑戦しましょう。

駐車場経営のメリット

駐車場経営のメリットは次の3つです。

  • 初期費用が安い
  • 狭い土地でも始められる
  • 転用が容易

初期費用は0円でも始められ、自己負担する場合でも200万円程度です。

土地は、10坪でも2台分は確保可能です。建物を建てるには狭すぎると思っていた土地も有効活用できます。転用のしやすさは、建物がないのが要因です。稼ぎが減ってきたら設備を撤去して、別の土地活用を始めやすいです。

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駐車場経営のデメリット

駐車場経営のデメリットは次の3つです。

  • 利益の少なさ
  • 税金の高さ
  • 競合の多さ

駐車場経営では、賃貸経営と比べて土地を平面でしか活用できないため、1坪当たりの利益は少ないです。利回りの高さに惑わされず、他の土地活用や不動産投資とも比較してください。

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税金の高さは、土地に建物がないことで固定資産税や都市計画税の軽減措置がなくなるのが原因です。土地にかかる税金が最大で6倍になるので、利用者がいないと維持費の負担は始める前より重くなるかもしれません。

競合は初期費用が安いため多い傾向です。より立地のよい場所に競合が現れる可能性も高いでしょう。

駐車場経営を始める流れ

土地を持っている人が、駐車場経営の検討から利益を得るまでの流れは、次の7ステップです。

  1. 駐車場経営の情報収集
  2. 駐車場の運営会社に相談
  3. 運営会社と契約
  4. 土地を駐車場として整備
  5. 駐車場の広告・宣伝
  6. 利用者と契約(月極の場合)
  7. 利益

駐車場の運営会社に相談してから利用者と契約するまで、早ければ1週間程度です。家の解体や土地の造成をおこなう必要があれば、追加で1ヵ月程度はかかるでしょう。

すでに土地を所有している人は、早めに行動を開始したほうがよいです。税金も管理の負担もかかり続けます。

駐車場経営を始める際の疑問

最後に、駐車場経営を始める際によくある次の疑問を解説します。

  • 駐車場経営はどこに相談?
  • 駐車場経営の確定申告の方法は?
  • 稼ぐなら個人経営?
  • 駐車場経営はいつまで続けるとよい?

後悔しないため、不安な要素は解消しておきましょう。

駐車場経営はどこに相談?

駐車場経営の主な相談先は次の2箇所です。

  • 土地活用の専門会社
  • 駐車場経営の運営会社

土地活用の専門会社では、複数の土地活用でプランを作成してもらい、どれが稼ぎやすいかの判断をします。駐車場経営のニーズがありそうな立地でも、他に稼ぎが大きな活用法があるかもしれません。

また、駐車場経営の運営会社への相談も可能です。サブリースが利用できるのか、管理の委託料はいくらかなど、提供されているサービスを比較して相談先を絞り込みましょう。

どちらへの相談も基本的に無料です。納得できるまで質問してみましょう。

駐車場経営の確定申告の方法は?

副業で始めた駐車場経営は、の副業も含めて年間の利益が20万円を超えると確定申告が必要です。区分は事業所得・雑所得・不動産所得のいずれかになります。

確定申告の時期は毎年2月16日~3月15日で、開始や終了の曜日によっては前後します。前年1年間の経費や利益を計算し、期間内に税務署か電子申告で提出してください。青色申告する場合は、開業から2ヵ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

駐車場経営が赤字でも、確定申告で損益通算という制度を利用すると、給与所得にかかる税金の節税が可能です。最新の税制を確認し、適用できる節税方法はないか探すとよいです。

稼ぐなら個人経営?

個人経営にしてすべて自身で管理をすると、ランニングコストの中で集金費や清掃費を節約できます。しかし初めて駐車場経営をする人が、集客で成功できるとは限りません。

特にコインパーキングで駐車場経営を始める場合、本業の傍らに警備や問い合わせの対応をするのは困難です。管理が行き届いていないと、利用者は減少します。

リスクを下げたい人は、サブリースで駐車場経営をしましょう。稼ぎは個人経営より少なくても、初期費用や手間はかからず安定した賃料を得られます。

駐車場経営はいつまで続けるとよい?

駐車場経営をいつまで続けるかは、そのときの利益で判断をしましょう。満足できる稼ぎがあるならば、辞める理由はありません。これまでの利益を使って事業を拡大したり、別の土地で不動産投資を始めたりして、資産を増やしてください。

他の土地活用のほうが利益を見込めそうであれば、設備を撤去して準備を進めましょう。砂利やアスファルト、コンクリートの撤去には3,000~5000円/㎡の費用がかかります。駐車場経営を始めるときと同様に、具体的な数字でシミュレーションをして計画を詰めていくとよいです。

まとめ

駐車場経営は、月極でもコインパーキングでも初期費用は0円から始められます。準備から管理まで運営会社に任せるサブリース契約なら、毎月一定の賃料を稼げます。

自主管理や管理委託で初期費用を負担する場合でも、小規模なものなら200万~500万円で収まり、融資なしでも始めやすいです。事前のニーズ分析やシミュレーション、ランニングコストの節約などをしておくと、失敗のリスクを下げて回収できます。

土地活用や不動産投資の中で、駐車場経営の初期費用は低く、転用も容易です。まずは、土地活用の専門業者や駐車場経営の運営会社に相談してみましょう。

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