任意売却の流れ7ステップ!注意点やデメリットまで解説

任意売却の流れ

不動産を購入する際には、金融機関に住宅ローンを申し込んで購入することが多いです。借り入れの際には、無理のない返済額を決めて返済計画を立てます。

しかし、長い返済期間の間には収入が減少することで住宅ローンを返すことできなくなり、滞納してしまいそうになることもあるでしょう。滞納した場合は金融機関の了承をえて、任意売却という形を取ることが可能です。

本記事では、任意売却の流れを知りたい人へ向けて具体的な流れや、任意売却をおこなうメリット・デメリットまで紹介します。実際におこなう場合の参考にしてください。

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任意売却の流れ7ステップ

任意売却は通常の不動産売却とは違うところがあり、流れに沿ってきちんと手続きをしていかなればなりません。事前に流れを知っておくことが大切です。ここでは7ステップにわけてわかりやすく説明していきます。

  1. 金融機関から督促がくる
  2. 専門家に相談をおこなう
  3. 住宅ローンの残高を把握する
  4. 不動産の価値を調査する
  5. 金融機関の許可をもらって売却活動
  6. 買い主と売買契約
  7. 決済して物件の引渡し

①金融機関から督促がくる

ローンの支払が滞り始めると金融機関より督促がおこなわれます。滞納1ヵ月目は残高不足や家庭の事情などの理由で滞納となることがあるため、電話やメールで連絡をする程度です。

しかし、滞納が2ヵ月目となると来店依頼状や督促状が届きだします。督促状は債務者が返済を促すための書状です。滞納している旨の案内や請求内容について、滞納分の支払いが記載されています。

➁専門家に相談をおこなう

督促状が届き返済が難しい場合は、なるべく早急に不動産会社や金融機関・弁護士など専門家に相談をおすすめします。任意売却の必要性があるのか、他の返済方法がないのかなど、話し合いをおこないましょう。

必ずしも任意売却が必要になるわけではありませんが、今後の対応を早めに相談することで解決することもあるでしょう。相談の結果任意売却が必要となれば、引き渡しまでのスケジュールを不動産会社と組み立てます。

③住宅ローンの残高を把握する

次に住宅ローン残高の確認をおこないます。残高がどのくらいあるか把握することで任意売却の際の目安価格がわかります。ただし、目安となる価格で売却できるわけではなく、相場よりも安い価格になることが多いことを覚えておくとよいでしょう。

ローン残高は以下3つの方法によって確認可能です。

  • 金融機関のWebサイト
  • 返済予定表
  • 残高証明書

返済予定表は、住宅ローン契約後に金融機関から発送されます。もし、手元にない場合は金融機関に再発行の申し出をおこなってください。残高証明書は金融機関によって多少変わりますが、毎年10月中旬頃に発送されるものです。こちらも返済予定表と同じように紛失した場合は再発行ができます。

④不動産の価値を調査する

通常の不動産売却同様に任意売却の場合でも、不動産の価値を調査します。不動産会社に査定の依頼をしましょう。査定の結果売却価格を決定しますが、任意売却の売却価格は相場金額よりも低くなることが多いです。

査定を依頼する際には一括査定サイトの利用をおすすめします。一括査定サイトなら複数の不動産会社へ手軽かつ簡単に査定が依頼できるからです。査定の結果を比較することで最新の相場価格を把握できます。

関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2023年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も

⑤金融機関の許可をもらって売却活動

任意売却をおこなうには債権者である金融機関の許可が必要です。交渉の際は売却金額とローン残高の差の開きや、返済方法などを金融機関が確認します。任意売却の許可が下りれば売却活動を始めることが可能です。

任意売却をおこなう際の売却活動は、広告をインターネット上に掲載したり折込チラシとして配布するなど、通常の売却活動と同様です。

⑥買い主と売買契約

売却活動を進めていくと、不動産の購入希望者が内覧に来るので、売り主側が対応しましょう。内覧の前には家の中の整理整頓をおこない、不用品の処分をするなど印象をよくできるように準備をおこないます。

購入希望者より買い付け申し込みが入ったら、買い付け申し込み書に記入してもらい買い主側の希望条件を確認します。値引き交渉などを受け交渉がまとまれば売買契約へと進みますが、売買条件については任意売却のときは債権者側の合意が必要です。

⑦決済して物件の引渡し

売買契約締結時に定めた期日までに、売り主は引越しを済ませておきましょう。引き渡し当日は売り主と買い主そして、債権者の金融機関や不動産会社立ち会いのもと代金の清算をおこないます。

代金を受け取ったあとは、ローンの残債の返済をして、抵当権の抹消および所有権を買い主に移転する手続きをおこないます。

売却代金で残債がすべて返済できた場合は別ですが、残債が残っているならば残債の返済計画を立て、無理のない金額で返済を続けなければなりません。

任意売却の注意点!失敗しない4つのポイント

確実に任意売却を進めたいのならば注意点を知っておく必要があります。注意点を知らないまま任意売却をすることで、おもわぬトラブルに遭遇する恐れがあるからです。

  • 早期に金融機関へ相談する
  • 任意売却を依頼する業者を厳選する
  • 債権者や保証人の合意をえる
  • 今後の生活の見直しをおこなう

早期に金融機関へ相談する

任意売却には期限があり、競売となるまでに売却を完了しておかなければなりません。競売にかけられてしまうと、売却金額や引き渡し日など自分の希望条件は通らないことが多いです。そのためローンの返済が難しいことがわかった場合は、早期に金融機関へ相談しましょう。

任意売却をおこなうには、任意売却を依頼する不動産会社を選び査定を依頼し、返済計画を立てるなどさまざまなことをおこなわなければなりません。

売却完了までの時間がかかりそうな場合は、早期に相談・対応しておくことで、しっかりとした準備期間が取れます。

任意売却を依頼する業者を厳選する

任意売却は通常の不動産売却とは違う売却となります。売却まであまり時間をかけることができず、通常の不動産売却にはない債権者との交渉や手続きも必要です。債権者との交渉次第では、任意売却ができないこともあり得ます。スムーズに任意売却をおこなうためには、任意売却の実績がある不動産会社を選ぶことが大切です。

業者選びを間違ってしまい悪徳業者に依頼をした場合、高額な手数料を請求されたり、手数料を取っただけで何もしてくれないような詐欺にあったりする可能性が考えられます。そのような事態にならないために、不動産会社は慎重に選びましょう。

債権者や保証人の合意を得る

任意売却をするためには、債権者である金融機関や連帯保証人となっている人からの合意が必要です。任意売却をおこなう不動産には、金融機関が担保として抵当権を設定しています。

抵当権を抹消しなければ不動産の売買は難しいです。売却をしてもローンの残債が返済できない場合には、許可をもらえない可能性があります。そのためには債権者に相談をして、抵当権抹消してもらえるように交渉する必要があります。

債権者に早めに相談をするのはもちろんですが、連帯保証人にも早めに現状を伝えておき、合意を得ておきましょう。

今後の生活の見直しをおこなう

任意売却後も生活は続いていきますが、生活をしていくためにはお金は必要です。不動産を売却したあとにローンの残債があれば、返済義務があるため返し続けなければなりません。無理のない返済計画を立て返済しましょう。

滞納しないためには、今までの生活を続けることはせず、生活の見直しをおこなう必要があります。住居費や電気・スマートフォンのプランなどの、固定費の削減から始めましょう。

任意売却をする5つのメリット

メリット

競売と比べると任意売却にはメリットが多いです。以下5つのメリットを詳しく見ていきましょう。

  • 市場価格での売却を狙える
  • 自身の経済事情は公表されない
  • 売却にかかる費用を捻出できる
  • 引渡し日のコントロールが可能
  • 交渉で残債の分割払いを選べることも

市場価格での売却を狙える

住宅ローンの支払いができずに滞納を続けた場合は、強制的に競売になってしまいます。競売となってしまうと売却金額や売却時期は強制的に決められてしまい、希望価格で売り出すことはできません。市場価格は5割から7割程度になってしまいます。

一方、任意売却を選んだときは売却にかける時間もあり、購入希望者は自分で選ぶことが可能です。そのため、市場価格と同程度かそれ以上の価格で、競売よりも高い金額で売ることができます。

自身の経済事情は公表されない

競売にかけられてしまうと、裁判所が運営している不動産競売物件情報サイトに掲載されてしまいます。このサイトの情報は誰でも閲覧が可能です。住所や外観の写真などが記載されています。そのため自身のことを知っている人が見ると、物件が特定できてしまい、お金に困って売却したことが知られてしまいます。

しかし、任意売却を選んだ場合は一般的な売却方法と変わらないため、任意売却として売ることを知られることはありません。

“参考:不動産競売物件情報サイト「競売物件検索」”

売却にかかる費用を捻出できる

任意売却では通常の不動産売却と同様に、主に以下の費用が発生します。

  • 仲介手数料
  • 抵当権抹消費用
  • 印紙税
  • 測量費用
  • 司法書士への報酬
  • 引越し代

任意売却の手段を取る場合、このような費用の支払いの捻出は難しいでしょう。通常の不動産売却では売り主側で支払わなければなりませんが、任意売却では債権者と話し合い売却資金から支払うことが可能です。

また、交渉次第では債権者に負担してもらう場合もあります。

引渡し日のコントロールが可能

任意売却は、通常の不動産売却と異なる点はあるものの同様の流れをたどります。任意売却は競売とは違い、売り主と買い主の立場は対等です。そのため、債権者が認めてくれる範囲内であれば、希望する日を引き渡し日に決められます。

子供の学校の都合や仕事の都合、新居の準備などに合わせて決められるのは、大きなメリットといえるでしょう。

競売になってしまった場合は、裁判所より競売開始の知らせが届き入札が開始されます。その後落札者が決定し契約に至ると即刻退去を命じられます。

交渉で残債の分割払いを選べることも

売却金額でローン残債がすべて支払えない場合は、何らかの方法を使い残債を支払う必要があります。交渉のうえ分割払いで支払っていくことも可能です。

任意売却後の残債の毎月の支払金額は、債権者と相談のうえ毎月無理のない金額を再設定してもらえます。以前支払っていた住宅ローンよりも負担が減り、最後まできちんと支払っていくことが可能です。

任意売却の手続きを取らずに競売となってしまう場合は、期限の利益喪失通知を受けてしまいます。そうなると、分割払いはできず一括で支払わなければなりません。

任意売却をする3つのデメリット

デメリット

任意売却には競売と比べると高く売れる可能性や、売却にかかる費用を捻出できるなどのメリットがありますが、デメリットも存在します。

メリットとデメリットを比較したうえでローン滞納後の対応を選びましょう。

信用情報に傷がつく

任意売却をおこなうということは、ローンの返済が滞っていて個人信用情報に傷がついている状態です。まだローンが滞ってはいないけれども、今後の支払いが厳しく任意売却を選ぶことになってしまう場合でも、個人信用情報に傷がついてしまいます。

信用情報に傷がつくことで、借り入れなどに関することは制限がかかります。一定期間クレジットカードの新規発行ができなかったり、新たな融資の借り入れや携帯電話の分割払いが選択できなかったりと、さまざまな支障がでてくるでしょう。

任意売却できる保証はない

任意売却とは債権者の許可を得て初めておこなうことができます。したがって自身が希望しても許可が下りなければ、任意売却をすることはできません。

任意売却をおこなうためには、債権者の許可が必要なこと、売却期間に余裕があること、共有者や債権者の同意があることなどの条件を満たす必要があります。また、ローン残債と査定後の売却予定金額の剥離が大きい場合は許可を貰えない可能性があるでしょう。

保証人に迷惑がかかる

住宅ローンを契約する際には保証人を求められる場合があります。ローンを滞納した場合、保証人にも連絡がいきます。連帯保証人となっている場合は、支払いの請求がいったり信用情報にも傷がついたり迷惑がかかるでしょう。

任意売却が成功したあとローンの残債が残ってしまうことがあります。残債の支払いができずに自己破産に至った場合は、債務者は支払いを逃れることができても、連帯保証人の場合は免れることはできません。

任意売却に関する疑問

任意売却に関するよくある質問について答えていきます。ここまでで解決できていないことがある場合はご参考にしてください。

  • 任意売却の回避方法はある?
  • 自己破産はしたほうがよい?
  • 任意売却した家に住み続けられる?

任意売却の回避方法はある?

月々の返済が厳しいと感じている場合、滞納する前に金融機関に相談をしてみましょう。金利が高い場合は低金利のローンへ借り換えをしたり、返済スケジュールの見直しなど返済を続けていける方法を考えましょう。

金融機関側から見た場合、債務者が任意売却や競売に移行してしまうよりは、毎月着実に支払いを続けてくれたほうが手間もかかりません。

自己破産はしたほうがよい?

自己破産をすることで、借入金の返済を免れられるメリットがありますが、デメリットが多いため自己破産はおすすめしません。

生活必需品を除く預貯金や自動車などの20万円以上の財産は、処分されてしまい返済に充てられてしまいます。20万円以下でも株式など生活に必要がないものも同様です。また、自己破産後は5年から7年程度は新たな借入はできません。免責が確定するまでの間は弁護士や警備員などの特定の職業につくことも不可能です。

任意売却をしたあとに、残債の返済がどうしても難しい場合に自己破産を検討しましょう。

任意売却した家に住み続けられる?

任意売却とリースバックという方法を組み合わせることで、家に住み続けることは可能です。リースバックとは、買い主をリースバック協会や投資家などとして、売り主は買い主から賃貸住宅として貸し出してもらう方法です。

リースバックで借りた場合は、周辺の家賃相場によって毎月の家賃を決めるわけではありません。売却価格を考慮した家賃設定をおこなうため、家賃が高額になるケースもあります。

関連記事:任意売却でリースバックは利用できる?メリットデメリットも解説

まとめ

ローンの支払が滞ると金融機関から督促が届くようになります。任意売却では、専門家に相談をして不動産や残債について調べてから、金融機関の許可を得るなど、通常の不動産売却とは異なる部分もあるため注意しましょう。

任意売却を成功させるためには、ローンの支払いが難しくなったらなるべく早期に金融機関に相談することが大切です。早期におこなうことで、強制的に売られてしまう競売になることを防げるでしょう。

任意売却には、保証人に迷惑がかかるなどのデメリットもありますが、競売と比べると市場価格に近い価格で売れるなどというメリットも存在します。任意売却の際にはメリットとデメリットを比較したうえで、なるべく早く決断することをおすすめします。

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