住宅ローンが残る家の売却方法とは?流れや任意売却についても解説

住宅ローンが残る家の売却方法とは

住宅ローンが残る家は売却できるのでしょうか。購入時は終の住処にする予定でも、転勤や離婚などさまざまな理由でマイホームを手放さなくてはならない人もいるでしょう。住宅ローンが残ったままでは、これからの生活の負担になります。

そこで本記事では、住宅ローンが残る家の売却方法や、ローンを完済しつつ売却するポイントを解説。ぜひ参考にして、スムーズな新生活をスタートさせてください。

監修者紹介
宅地建物取引士
中野香菜 さん
株式会社ジョンソンホームズ

宅地建物取引士。2007年にジョンソンホームズ株式会社に入社し、初めの8年間は住宅営業として活躍。その後営業からマーケティングへとキャリアをシフト。現在に至るまでの8年間マーケティング部門での仕事に携わる。
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住宅ローンが残る家でも売却はできる

現在どれだけ住宅ローンが残っていても、売却で得る予定のお金や貯金でローンを完済をし、抵当権を抹消できるならば売却は可能でしょう。

抵当権とは、住宅ローンを組む際に購入する不動産を担保にする権利です。ローンの返済が滞ってしまうと、ローンを組んだ金融機関等から不動産を差し押さえられてしまいます。

抵当権が残ったままの不動産を購入するのはリスクが大きいため、購入希望者はほとんどいません。そのため、住宅ローンが残った家を売却したい人は、ローンを完済し抵当権を抹消できるのかが重要になります。

売買代金で住宅ローンの返済が可能な家を売却する流れ

売買代金を充当させて住宅ローンを返済する場合の売却の流れは、次の7ステップです。

  1. 住宅ローンの残債を調査
  2. いくらで売却できるか査定依頼
  3. 不動産会社と媒介契約
  4. 売却活動をして買い主を探す
  5. 金融機関へ連絡
  6. 買い主と売買契約
  7. 家の引渡し

各ステップで何をするのか詳しく解説していきます。

①住宅ローンの残債を調査

家を売却する第一歩は、住宅ローンの残債を調査して、現状を確認することです。残債が分からなければ、最低限いくらで売却できたらよいかの目標も立てられません。

調査方法は主に次の3パターンです。

  • 金融機関から届いている住宅ローン残高証明書の確認
  • インターネットバンキングで返済口座から照会
  • 住宅ローンを組む際に作成した返済予定表を確認

残高証明書は、確定申告や年末調整で必要になるため、年末時点の残債が記載されたものが毎年10月頃に届きます。紛失した場合でも再発行は可能です。

また、金融機関でインターネットバンキングを作成している人は、いつでも残債の照会ができます。

手元に返済予定表がある人は、現在の日付から残債を確認するのもよいでしょう。ただし、返済予定表通りに返済ができていない場合は、残高証明書やインターネットバンキングの照会で確認した方が確実です。

➁いくらで売却できるか査定依頼

いくらで不動産を売却できるかによって、住宅ローンを完済できるかが決まります。住宅ローンの残債を調べたら、次は不動産の売却価格を知るために不動産会社に査定依頼を申し込みましょう。

不動産会社が出す査定結果は、直近3ヵ月程度で売却が見込める不動産の価格です。査定依頼は無料で、簡単な査定であれば早くて即日に査定結果の連絡がきます。

不動産会社によって査定結果は異なるため、複数社に査定を依頼するとよいでしょう。査定額は不動産会社によって100万円以上の差が出ることは珍しくなく、複数社の平均を取らないと今後の予定に支障がでてきます。

複数社に査定依頼できる不動産一括査定サイトがおすすめ

複数社に査定依頼する際は、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。物件情報を入力すると、査定依頼可能な不動産会社が自動的にピックアップされるため、自力で依頼先を探す手間が省けます。

不動産一括査定 複数社に依頼可能

本サイトでは、顧客満足度の高いおすすめの不動産一括査定サイトを知るために、利用者へのアンケートを実施しました。おすすめの不動産一括査定サイトのランキングTOP3は以下のとおりです。

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アンケートの調査概要やほかの不動産一括査定サイトについて知りたい人は、次の記事をご覧ください。

関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング22選を比較【2024年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も

③不動産会社と媒介契約

不動産会社に仲介の売却を依頼するため、媒介契約を結びます。この契約は業務内容の違いで、次の3種類があります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる不動産会社数 制限なし 1社 1社
契約期間 制限なし 3ヵ月以内 3ヵ月以内
自己発見での取引 可能 可能 不可
レインズへの登録義務 任意 あり あり
売却活動の報告義務 なし 2週間に1回以上 週に1回以上

自己発見での取引とは、買い主を自身で見つけて個人で売買契約をすることで、仲介手数料はかかりません。

また、レインズは不動産会社向けの情報共有システムで、登録されていると早期の売却につながります。

どの媒介契約でも更新の義務はなく、買い主が見つかるまで仲介手数料の支払いは不要です。どの方法ならば、早期に売却できるのかを検討し決めるとよいでしょう。

④売却活動をして買い主を探す

媒介契約を結ぶと、不動産会社の担当者は売却活動を始めます。広告を作成して、不動産ポータオルサイトや新聞の折込みチラシなどで周知します。

問い合わせがあれば、スケジュールを調整して内覧の対応をしてください。1回あたり30分~1時間で、買い主が決まるまでに6~10回は対応が必要になるでしょう。

できるだけ印象がよくなるよう、事前の掃除や整理整頓で見栄えを整えます。当日は部屋を明るくして、質問によどみなく答えられると、気に入ってもらいやすいです。

⑤金融機関に連絡

住宅ローンを組んでいる金融機関に、住宅の売買金額でローンを全額返済し、同時に抵当権の抹消登記をおこないたい旨を伝えておきましょう。

金融機関側は、抵当権の抹消登記に必要な書類を準備しなくてはなりません。金融機関への連絡が遅れてしまうと、物件の引き渡しまでに抵当権の抹消登記ができず、取引を先延ばしせざるを得なくなります。

金融機関に連絡するタイミングとしては、住宅ローンの返済方法が決まった時点で一度相談をおこない了承を得て、決済日が決まった時点でまた連絡するのがおすすめです。

スムーズに取引を進めるためにも、ローンが残る家の売却時は金融機関への事前連絡を忘れないようにしましょう。

⑥買い主と売買契約

値引き交渉や引渡しの時期調整などを経て、買い主と納得できる条件で売買契約を結びます。実際の交渉は不動産会社の担当者がおこないます。担当者には、値引き可能な金額など細かな条件まで伝えておきましょう。

契約書にサインをしてしまうと、簡単にキャンセルはできず、キャンセルする場合は違約金の支払いも求められます。契約書でわからない部分があれば、担当者に質問をして理解したうえで契約書にはサインをするようにしてください。

決済日が決まったら、金融機関にも連絡を入れましょう。

⑦家の引渡し

売買契約書に記載した内容に従い、家の引渡しをおこないます。当日は売り主、買い主、不動産会社の担当者、金融機関の担当者が集まります。家の売買金額で住宅ローンの完済と抵当権の抹消をおこなってください。

家の引渡し日は、入金の確認や登記手続きが必要なため基本的に平日です。売買契約で日付が決まった段階で、必要であれば有給休暇の申請をしておきましょう。

売却金で住宅ローンを返済できない場合の完済方法

家の価値は築年数が経つにつれて下がります。木造住宅では、築10年で市場価値が新築時の半額以下になることもありえます。売却金だけでは完済に届かない場合は、次の3つの方法を検討してみましょう。

  • 自己資金で残債を返済する
  • 住み替えローンに不足額を上乗せする
  • 無担保ローンで融資を受ける

自己資金で残債を返済

売却金だけでは完済に届かずとも、自己資金で負担できるならば、問題なく売却手続きを進められます。預貯金を確認して今度のライフイベントを踏まえ、取り崩せるならば残債の返済に充てるとよいでしょう。

また、不足分は両親に借りるという選択肢もあります。通常年間で110万円以上のお金を受け取ると贈与税が発生しますが、生活費や教育資金などの不足が理由だと課税の対象になりません。両親からの援助が期待できる場合は、売却額と預貯金を使って住宅ローンの完済を目指し、生活費用を助けてもらえないか相談してみるとよいでしょう。

住み替えローンに不足額を上乗せ

転勤などで新居を購入する予定の人は、住み替えローンで不足額の確保が可能です。住み替えローンで受ける融資額は、新居の購入費用と現在住んでいる家の売却後に残る住宅ローンの合計です。住み替えローンを利用すれば、預貯金に余裕がない場合でも売却を進められます。

住み替えローンを利用する場合、これからの返済計画には注意してください。融資額が高額になると審査は厳しくなり、返済計画によってはこれまでより月々の負担が増えるでしょう。融資額は必要最低限にして、無理をするのは避けましょう。

審査を通過しやすくするため、車のローンなど他の返済はできるだけ清算しておくことをおすすめします。

無担保ローンで融資を受ける

新居が賃貸で住み替えローンが使えない場合は、無担保ローンで融資を受ける方法もあります。申し込みはインターネット上で完結し、保証人が不要のケースもあります。大手の金融機関でも取り扱っているので、売却金で住宅ローンを返済できないことが判明した段階で相談をしてみましょう。

担保や保証人不要でローンを組めるのはメリットですが、有担保ローンと比べると金利は高い傾向にあります。複数の金融機関で融資期間や金利を比較して、無理のない返済ができるところを選んでください。

住宅ローンを滞納中なら任意売却

住宅ローンをすでに滞納中の場合、上記で紹介した流れでは売却できません。一手間かかりますが、任意売却という方法を取ると、できるだけ残債を減らして売却することが可能です。

スムーズに手続きを進めるため、任意売却について解説していきます。

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンを滞納している家を、債権者である金融機関の許可を得て売却する方法です。連帯保証人を設定している場合は、保証人からも許可を得る必要があります。その他の流れは、仲介で売却する場合と同じです。不動産会社に依頼して、売却活動で買い主を探し、売買契約を結び家を引渡します。

債権者の許可が下りるかが、任意売却の成否の分かれ目です。交渉に失敗しないためには、実績のある不動産会社を選ぶとよいです。任意売却を専門としている不動産会社から、サービス内容も含めて複数社を比較すると、自分のケースにあったところが見つかるでしょう。

関連記事:任意売却の流れ7ステップ!注意点やデメリットまで解説

任意売却するメリット・デメリット

任意売却のメリットとデメリットは次のようになっています。

メリット デメリット
・市場価格での売却が期待できる
・引渡し日を指定できる
・売却額で仲介の諸費用の負担が可能
・残債の分割払いが可能
・債権者の合意なしに進められない
・信用情報に傷がつく
・保証人に迷惑がかかる
・売却できる保証はない

任意売却を始める時点で、住宅ローンを数ヵ月滞納して一括返済を求められている状態です。任意売却なら債権者の合意がとれれば、仲介で市場価格での売却を目指せます。引渡し日の指定で引越しの猶予を確保でき、仲介手数料などの出費を売却額から捻出可能です。

デメリットの信用情報の傷は避けられません。一定期間は新たにローンを組んだりクレジットカードを作成したりするのに支障がでます。連帯保証人にも迷惑がかかるため、経緯を説明して合意を得てください。

任意売却できないと競売になる

住宅ローンの滞納を続けて任意売却もできなくなると、裁判所による競売が始まります。競売の場合は、仲介や任意売却のように市場価格で売却するのは難しく、売却金額は入札の具合に左右されます。競売による売却額は、市場価格の7割りが目安です。

競売の情報はインターネット上に公開されるので、知り合いに気づかれやすいのもデメリットです。また、落札した人の売買契約が済むと、強制退去となります。

自身で売却するより手間はかからず、需要の低い家でも現金化しやすいですが、売却金額が市場価格より低くなりやすく、自分で退去日を決められないのは大きなデメリットといえるでしょう。

住宅ローンを残さず売却するポイント

これからの生活のことを考えると、住宅ローンが残る家は仲介の売却でローンを完済できるのが理想的です。少しでも返済に回せる額を増やすため、次の3つのポイントを実践しましょう。

  • 信頼できる不動産会社に売却を依頼
  • 値引きを想定して売り出し価格を決める
  • 売却にかかる諸費用の節約

信頼できる不動産会社に売却を依頼

希望価格での売却を実現するには、信頼できる不動産会社選びが重要です。自身の希望を汲み取って反映させてくれないと、引渡し後に不満が残ります。売却を任せられる信頼できる不動産会社かどうかは、次の基準で判断するとよいです。

  • 取り扱う不動産の得意分野
  • 利用者のリアルな口コミや評判
  • 担当者との相性の良さ

不動産会社によって、中古マンションの売却が得意であったり戸建て売却が得意であったりとさまざまです。得意な地域も異なるため、自身が所有する不動産に似た売買事例が豊富な不動産会社を探しましょう。得意分野の不動産売却であれば、すでに顧客を抱えている可能性も高く、早期の引渡しが期待できます。

口コミや評判のチェックは、実態を知るために必要です。どれだけ公式サイト上では魅力的でも、「実は悪質な不動産会社だった」ということもあります。

また、担当者との相性の良さは実際に担当者と話をして判断しましょう。優良と評価される人でも、自身とは合わない可能性はあります。次の記事で紹介しているおすすめも参考に、不動産会社を厳選してください。

関連記事:【2024年】不動産仲介の売買実績ランキングTOP10!信頼できる大手不動産会社の特徴を徹底比較

値引きを想定して売り出し価格を決める

最新の相場で売り出していても、買い主はできるだけ安く購入したいと考えるのが心情です。預貯金や別のローンで残債の負担をしたくないならば、値引きに応じても完済できる売り出し価格にあらかじめ設定しましょう。

基準となるのは査定で調べた相場です。そこから不動産会社の担当者と話し合い、最低の売却価格を決めます。売り出し価格を決定する段階で値引きの最低ラインまで決めておくと、値引き交渉をされた際に悩まず判断でき、値引きをしすぎてローンを完済できなかった、という事態も防げるでしょう。

売却にかかる諸費用の節約

家の売却には諸費用がかかるため、売却額を全額住宅ローンの返済に回すことはできません。少しでも完済に近づけるよう、諸費用の内訳と節約方法を表にまとめました。

諸費用の内訳 節約方法
仲介手数料 媒介契約前に不動産会社と交渉
印紙税 売買契約書のコピーをとり負担を半額
登記費用 自力で手続きをして依頼する費用を節約
引越し費用 荷物を減らして複数業者で見積もり
繰り上げ返済事務手数料
リフォーム・ハウスクリーニング リフォームはせず自力で掃除

仲介手数料は、上限については法律で決まっていますが下限は不動産会社次第です。一般媒介契約以外で依頼したり、顧客と責任者との距離が近い不動産会社を選んだりして、仲介手数料の値引き交渉を持ちかけましょう。

また売却をした翌年は、確定申告で節税もできます。税務署に問い合わせをすると無料でアドバイスをもらうことができ、時期によっては確定申告のセミナーもあります。積極的に利用してください。

住宅ローンが残る家の売却でよくある疑問

最後に住宅ローンが残る家の売却で、よくある次の質問について解説します。

  • 住み替えならどのタイミングで売却する?
  • 離婚後の住宅ローンの残債は誰が負担する?
  • 残債を返済しきれないと自己破産?

家の売却は大金が動き、今後の生活に影響が出ます。行動を開始する前に気になることは解消しておきましょう。

住み替えならどのタイミングで売却する?

住み替えは、家を売却してから新居を探す「売り先行」と、新居に入居してから売りに出す「買い先行」の2通りがあります。住宅ローンが残っていて売却額で完済できるか不安がある場合は、売り先行がおすすめです。

新居の購入前に不足額を正確に把握できるため、新居の価格や住み替えローンの追加分でコントロールがしやくなります。買い先行では想定通りの額で売却できないとき、完済に困ってしまいます。

離婚後の住宅ローンの残債は誰が負担する?

離婚の有無にかかわらず、住宅ローンの返済義務は名義人にあります。単独名義であれば、1人の名義人が残債を負担することになります。

しかし、住宅ローンの残債は離婚の財産分与の対象です。名義人には他の資産を多めに分配するなど、負債も考慮して財産分与をおこないましょう。

残債を返済しきれないと自己破産?

任意売却であっても残債の返済義務があるため、分割払いを利用して少額づつでも返済していきましょう。しかし、債権者と交渉をおこない返済条件が折り合わず返済が困難な場合は、自己破産を検討しましょう。

自己破産には次の6つのデメリットがあります。

  • 5~10年は新規でクレジットカード作成やローン組みが困難
  • 99万円を超える現金は返済に充てる
  • 資産価値が20万円以上のものは現金化され返済に充てる
  • 破産の手続き中は他人の財産に関連した資格を取れない
  • 破産手続き中は郵便物を破産管財人がチェック
  • 自己破産は官報で公表される

安易な自己破産は避け、できるだけ他の方法で完済を目指せるよう検討しましょう。

まとめ

住宅ローンが残る家は、預貯金や他のローンで補填してでも完済できるなら、売却が可能です。残債の支払いがなければ、余裕をもった新生活を送れます。

すでに住宅ローンを滞納している場合でも、任意売却をおこなえば競売よりは有利に売却を進めやすいでしょう。対応が遅れると競売が始まってしまうので、早期に金融機関に相談をしてください。

少しでも残債を減らすため、不動産会社は厳選し、諸費用の節約も忘れないようにしましょう。

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