離婚時の家の査定は必須!財産分与で家を売らない場合やローン中の家の注意点も解説

離婚時の家の査定は必須!財産分与で家を売らない場合やローン中の家の注意点も解説

離婚で財産分与をする際に、「家の査定はどこに頼むのがいい?」「住み続けるけど家の査定は必要?」など、分からないことが多く悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、離婚時の財産分与において家の査定が必要な場合や理由を解説し、ケース別に査定方法や注意点を紹介します。

さらにトラブルにならないよう財産分与するための注意点や、財産分与の流れについても詳しく説明します。これから離婚で家の査定を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 離婚時に家の査定が必要な理由
  • 家を売却する場合の査定と注意点
  • 片方が住み続ける場合のの査定と注意点
  • ローン中の家の財産分与方法

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関連記事:いえカツLIFEの口コミ・評判は?特徴やメリット・デメリットを解説

監修者紹介
宅地建物取引士
中野香菜 さん
株式会社ジョンソンホームズ

宅地建物取引士。2007年にジョンソンホームズ株式会社に入社し、初めの8年間は住宅営業として活躍。その後営業からマーケティングへとキャリアをシフト。現在に至るまでの8年間マーケティング部門での仕事に携わる。
詳しくはこちら
この記事のインタビュー協力者

インタビュワー_W様 名前 Wさん
物件種別 戸建て
物件エリア 千葉県
査定時期 2023年

※J-Nav不動産メディアでは、ユーザーの生の声をお届けするために、商品・サービスの利用者に直接取材を行っています。

編集部:小原

本記事では、不動産売却の実態を知るために、離婚時の売却経験のある方にインタビューを実施しました。

インタビュー内容はこちら

目次

離婚時に家の査定が必要な理由

離婚時に家の査定をおこなうのは、家の価値を正しく把握してきちんと財産分与するためです。

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦が協力して築いた財産を分け合うことを指します。財産分与の対象は現金や預貯金のほか、有価証券や車両、家具などです。

夫婦の住まいであった家や土地も財産分与の対象に含まれますが、これらは現金や預貯金のように簡単に分け合えません。こうした分与が難しい財産の場合は、適切に分配するために査定がおこなわれます。

財産分与の対象外の家もある

持ち家であっても、次のような家は財産分与の対象外です。

  • 相続・贈与で手に入れた家
  • 購入費用の片親の親族が全額負担した家
  • 結婚前に一方の自己資産だけで購入された家

いずれも、家を夫婦共有の財産で手に入れていないため、財産分与の対象外です。家に限らず財産分与をするときは、どこまでが対象になるのかを正確に把握してから始めましょう。

参考:法務省「財産分与」”

家の査定はどこに頼む?

家の査定には不動産会社による査定と、不動産鑑定士による査定(鑑定)の2パターンがあります。それぞれ詳しく説明します。

【無料】不動産会社による家の査定

不動産会社による査定には簡易査定と訪問査定の2種類あり、どちらも無料で依頼できます。

査定方法 査定期間 査定額の算出方法
簡易査定 即日~3日 築年数や間取りなどの条件から
成約物件データをもとに簡易的に算出
訪問査定 1週間~10日 家の劣化状態や土地の状況などを確認し
市場相場も考慮して算出

査定額は保有する取引データや査定項目などによって変わるため、不動産会社ごとに金額が異なります。そのため、複数の不動産会社の査定結果を入手して、自分の売却希望価格に合った金額を見つけることが必要です。

  • 中野香菜さん
    相場を知るには2~3社程度の依頼でおおよその金額が分かりますが、もし信頼できる担当者に依頼するのであれば1社でも十分です。
  • 不動産会社に依頼するなら不動産一括査定サイトの利用がおすすめ!

    不動産一括査定サイトを利用することで、一度に複数会社からの査定結果を受け取ることができます。査定依頼の手間が省けるだけでなく、最高額での売却も可能となりますので、気になる人はぜひ利用してみてください。

    以下では顧客満足度の高い不動産一括査定サイトを3つ選定しました。

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    また、上記3サービス以外の不動産一括査定サイトが知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。

    関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2024年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も

    【有料】不動産鑑定士による家の査定

    家の査定は不動産鑑定士にも依頼できます。不動産鑑定士の資格を持つ人が、評価基準に関する法律に基づき、家の適正価値を算出して鑑定書を発行します。費用は戸建て・マンションなどの不動産の種類と評価額によって異なりますが、最低でも20万円ほどかかると想定しておくとよいでしょう。

    不動産鑑定士に依頼するメリットは、算出した査定額(鑑定額)に法的な効力が付くことです。税務署や裁判所などの公的機関でも、家の適正価値を示すものとして認められます。

    関連記事:不動産見積もりとは?無料と有料の違いや依頼する方法を解説

    ケース①離婚で家を売却する方法と注意点

    「離婚後はなるべく連絡をとりたくない」「正確にわかりやすく財産分与をしたい」なら、家は売却してしまうほうがよいでしょう。

    離婚における家の財産分与で、家を売却する場合の流れと注意点を解説します。

    家を売却して現金を分け合う方法

    家の売却を進めるためには、不動産会社の査定が必要です。家を売却するまでの基本的な手順は次の5つのステップです。

    1. 不動産会社に家の査定を依頼
    2. 不動産会社と媒介契約
    3. 販売活動・購入希望者と条件交渉
    4. 買い主と売買契約
    5. 決済・家の引渡し

    査定額は、不動産会社が3ヵ月以内に売却できる可能性がある金額として提示されます。売り主は納得できる金額を提示した不動産会社と、媒介契約を結んで売却を進めます。

    売却は離婚後がおすすめ

    家の売却には時間がかかります。離婚前に急いで売却してしまうと家を高値で売れない可能性もあるため、離婚後に時間をかけて納得する金額で売却を進めたほうがよいでしょう。

    ただし、すぐに現金が必要な場合や離婚後はなるべく連絡を避けたい場合は、離婚前に売却をするのもおすすめです。離婚前に家を売却する場合は、家の財産分与のタイミングに注意してください。離婚前に財産をわけると、財産を受け取る側に贈与税が生じる場合があります。

    夫婦の合意があれば財産分与は半分でなくてもよい

    財産分与で半分にするのはあくまで原則です。夫婦で合意できるならば、どのような割合でも問題なく、100対0も認められます。財産形成の貢献度や離婚の原因などを交渉して検討するとよいでしょう。

    財産分与の割合で揉めると、裁判にまで発展する恐れもあります。問題が発生する可能性が高いと考えられる場合は、相手に有利な割合にするもの1つの手です。

    参考:法務省「財産分与」”

    ケース②離婚後に家を売らない場合の注意点

    離婚後にどちらかが家に住み続ける場合は、算出された家の評価額をもとに財産分与をおこなうことになります。

    家を実際に売却して売却金を分ける方法よりも、やや複雑でトラブルにもなりやすいため、きちんと注意点を確認しておきましょう。

    家を売らないで夫婦のどちらかが住み続ける方法

    家を売らずに家の財産分与を進める手順は次の5つのステップです。

    1. 家の名義人を確認
    2. ローンが残っている場合は契約名義人や残高を確認
    3. 不動産鑑定士や不動産会社に家の査定依頼し評価額を算出
    4. 特有財産が含まれていないか確認
    5. 分与の割合に沿って財産を分与

    家を売却せずに、夫婦のどちらかが譲り受ける場合も査定は必要です。たとえば、分与の割合が2分の1の夫婦で査定額が2,000万円の家の場合は、その半額の1,000万円分の財産を相手に譲るか、現金を支払って分け合います。

    家を現金化しない場合でも、分与の割合に沿った財産を譲り渡す必要があるため注意が必要です。

    家の名義を変更

    家が夫婦2人の共有名義、または家を出ていく人の名義になっている場合は、譲り受ける人の名義に変更しましょう。

    家の売却には名義人全員の同意が必要です。離婚して家を譲り受けた人が名義人になっていないと、将来的に売却が必要になったときに、自分一人の意思だけで進めることが困難になります。

    離婚後に連絡を取り合うことはお互いにストレスを感じることも多く、トラブルになる可能性も少なくありません。そのため離婚時の家の名義は、譲り受ける人の単独名義に変更するのがおすすめです。

    代償金の支払いが可能か確認

    共同名義の家を夫婦のどちらか一方が譲り受ける場合、離婚で家を譲り受ける人は、代償金の支払いに注意しましょう。家は高価な財産です。家を譲り受ける側が他の財産を相手に譲っても、財産分与が公平とならない場合は代償金の支払いが必要になります。

    仮に代償金の支払いが難しい場合は、家は共有名義にしたまま財産分与をすることで、代償金の支払いを回避できますしかしどちらか一方の意思だけで将来売却はできず、離婚後も相手とのつながりが残ります。相手とのつながりを断って生活をしたいならば、家を売却して現金化し分与することを検討しましょう。

     トラブル懸念時は不動産鑑定士への依頼がおすすめ

    離婚時の財産分与でトラブルへの発展が予想される場合は、法的な効力がある不動産鑑定士による査定(鑑定)を依頼するのがおすすめです。

    不動産鑑定士による査定(鑑定)は、法律に基づいて家の価値を算出しています。税務署や裁判所などの公的機関で、金額の根拠として使える鑑定書が作られるため、後のトラブルを抑えられます。

    ただし、不動産鑑定士に査定(鑑定)を依頼すると大きな費用が発生します。できるだけ負担を抑えて財産分与したい場合は、お互いに合意のうえで、不動産会社の査定額を参考に話し合うとよいでしょう。

  • 中野香菜さん
    鑑定士に依頼する際には、売却のための価格設定なのか、資産評価のためなのか、どのような評価を求めているのか、目的を明確に伝えることが重要です。
  • 関連記事:不動産査定書とは?査定書の記載内容や取得方法・費用について解説

    ケース③ローン中の家を売却する場合の注意点

    住宅ローンを組んでいる家は、全額返済して抵当権を抹消しないと自由に売却できません。抵当権とは、返済が滞ったときに金融機関が家を差し押さえ残債処理ができる権利です。

    売却を考えているが住宅ローンが残っている場合はどうしたらいいのか、解説していきます。

    可能なら離婚前に住宅ローンを完済しよう

    家の住宅ローンが残っている場合は、できるなら離婚前に完済しましょう。抵当権が設定されていると、金融機関の許可なく名義変更もできません。

    また、住宅ローンを完済せずに債務者が家を出ていく場合はトラブルになる可能性があります。住宅ローンは債務者を変更しない限り、離婚しても支払い義務は継続します。居住しない家のための支払いは将来的に難しくなる可能性が高く、滞納になると最悪の場合は明け渡さなければなりません。

    関連記事:住宅ローンはどこに相談すべき?相談窓口の種類と相談する際の注意点

    アンダーローンなら家を売却してローンを完済

    住宅ローンが残っていても家の売却金で住宅ローンを返済できる場合は、アンダーローンといいます。アンダーローンの場合は、家の売却金から住宅ローンや手数料を払い、残った売却金を夫婦で分けることになります。

    家の売却金を全額あてても残債が出る場合は、自己資金でカバーすることもできます。新居を購入予定ならば、住み替えローンで残債と購入代金を足した額を借りることで、返済を先延ばしにすることも可能です。

    オーバーローンなら売却不可!任意売却を検討

    家の売却金で住宅ローンを返済できない場合を、オーバーローンといいます。売却金と自己資金をあわせてもローンを返済できない場合は、家を売却することができません。

    夫婦のどちらかが住み続けてローンを払っていくか、任意売却という手段を検討しましょう。

    任意売却は、住宅ローンを借りた金融機関の許可を得て家を売却する方法で、残債圧縮の話し合いもおこないます。ただし住宅ローンの遅延や滞納が任意売却の条件にあるため、信用情報にキズがついてしまうデメリットも存在します。

    任意売却をおこなう際は、今後の融資やクレジットカード発行が不利になる可能性が高く、離婚後に新たなパートナーと住宅ローンを組むのも難しくなるということを理解しておきましょう。

  • 中野香菜さん
    任意売却では、債権者との交渉が必要となることが多いです。適切なサポートとアドバイスを受けられる専門家を見つけましょう。
  • 離婚後の家は売却すべき?住み続けるべき?

    査定により家の価値を正しく把握できますが、離婚後の家は売却すべきでしょうか?それとも住み続けるべきでしょうか?それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選べばよいのか状況によって変わります。

    将来の生活に影響するポイントとなるため、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

  • 中野香菜さん
    財産分与をする上で現金化するのが最もトラブルになりにくい方法です。
    離婚後、新たな生活を始めるために、物理的にも精神的にも新しい環境でスタートすることができる反面、長年生活した家を売却することは、感情的な負担となることがあります。
  • 離婚後の家を「売却する」メリット・デメリット

    まずは、離婚後に家を売却するメリット・デメリットから解説します。

    メリット デメリット
    ・正確な財産分与が可能
    ・離婚後に住宅ローンに支払う必要なし
    ・売却の利益を離婚後の生活に充てられる
    ・売却に時間がかかる可能性がある
    ・共有名義の家は1人で売却できない
    ・今後住む家の確保が必要になる

    売却して現金化できていれば、1円単位で正確に財産分与が可能で、取り分の多さによるトラブルは避けられます。また、住宅ローンの支払いがなくなるため、離婚後に誰が負担するかといったトラブルもありません。

    しかし、家の売却は遅いと1年程度かかる可能性もあるため、早いタイミングでの動き出しが大切ろなります。

    売却後は新居の確保や引越し、生活必需品の購入などで費用もかかります。売却で利益が出るとこれらの費用に充てられますが、想定より安い価格での売却となった場合、住宅ローン残債の支払いも負担になるため注意が必要です。

    離婚後の家に「住み続ける」メリット・デメリット

    離婚後の家に住み続ける場合も、メリット・デメリットが存在します。

    メリット デメリット
    ・生活環境を変えなくてよい
    ・新居の用意にかかる費用の節約ができる
    ・家を使って資産運用ができる
    ・財産分与でもめやすい
    ・維持費の負担は続く
    ・児童扶養手当がなくなる可能性あり

    住み続ける場合、生活を変える必要がなく、子供がいる家庭では同じ学校に通い続けられます。新居のため敷金礼金や引越し費用の節約ができるのも大きいです。家を誰かに貸し出し家賃収入を得ることも可能で、うまく運用できれば貯蓄を増やせる可能性もあります。

    しかしデメリットも多く、家と同等の資産が他にないと公平な財産分与が難しいです。また、固定資産税や各種保険、メンテンナンスの負担が続きます。

    家から離れた人に住宅ローンの支払いで援助を受けると、所得扱いとなり児童扶養手当の要件を外れる可能性もあり、さらに生活に負担が増えることも考えられます。

  • 中野香菜さん
    新たなパートナーがいる場合、過去のパートナーと共有した家に住み続けることは感情的な負担となる場合もあります。
  • 離婚時の家の売却をうまく進めるための6つのポイント

    ここでは、離婚時に家の売却をスムーズに進めるためのポイントを6つ紹介します。

    • 査定の依頼は一括査定サイトを使う
    • 正確な査定には訪問査定が必要と理解しておく
    • 不動産会社選びは担当との相性も見極める
    • 値下げ交渉を想定して売り出し価格を決める
    • 売却までの期間に余裕を持つ
    • 売却の利益は確定申告で節税

    それぞれ詳しく解説します。

    査定の依頼は不動産一括査定サイトを使う

    家を査定する際は、複数の不動産会社に依頼できる不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。

    一社のみに査定依頼しただけでは最新相場を把握するのは難しく、家の売却がうまく進まない可能性があります。そのため、複数社の査定結果を入手して比較し、適切な売り出し価格を設定しましょう。

    不動産一括査定サイトでは、それぞれの不動産会社に足を運ぶことなく、Web上でまとめて依頼することができます。一度の申し込みで複数社に査定依頼が可能なため、手間と時間を節約できます。

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    正確な査定には訪問査定が必要と理解しておく

    家の査定には、立地・間取り・築年数といったデータだけ判断する机上査定と、傷み具合まで肉眼で見て判断する訪問査定があります。実際の売却価格に近い査定額を知りたいならば、訪問査定が必要です。

    訪問査定でも費用は無料ですが、不動産会社を家に迎えなければならず、結果も即日ではわかりません。一括査定で気になる全社に訪問査定を依頼すると手間がかかるため、机上査定の結果をみて厳選した会社にだけお願いしたほうがよいでしょう。

  • 中野香菜さん
    机上査定で判断するのであれば、担当者のレスポンスの速さに注目しましょう。
  • 不動産会社選びは担当との相性も見極める

    不動産会社選びでは査定額に注目しがちですが、担当者の対応力や知識、実績なども参考にして契約を判断しましょう。買い主探しや価格交渉、売買契約の準備などを安心して任せるためには、担当者との相性が重要です。

    また、相性のよい不動産会社を見つけるためには、家の売却に関する疑問や不安を率直に話してみるのがおすすめです。売り主の声に真摯に向き合い、適切に解決策を提案できる担当者がいる場合は、家の売却に関する手続きがスムーズに進むと考えられます。

    値下げ交渉を想定して売り出し価格を決める

    家の売り出し価格は、購入希望者の値下げ交渉を想定して設定しましょう。

    ほとんどの購入希望者が少しでも安く買うために、値下げ交渉を持ちかけてきます。値下げ交渉には必ずしも応じる必要はありませんが、条件次第で応じる姿勢をみせることで、売却がスムーズに進む可能性があります。

    また、売り出し価格を決める際は、同時に最低売却価格も決めておきましょう。値下げ交渉があった際に、どこまで応じるのか判断する基準を明確にしておくことで、過剰な値下げを防げます。

    家を売るタイミングを想定し期間に余裕を持つ

    家の売却に向けた手続きは早めにスタートし、スケジュールに余裕をもって進めましょう。

    家を購入する人は、新生活の準備に入る春と秋頃に増える傾向があります。売却までの期間に余裕があれば、この時期を狙った売り出しが可能です。

    さらに期間に余裕があれば、無理な値下げに応じる必要がありません。じっくりと買い主が現れるのを待つことができるため、焦らずに強気の価格設定で購入希望者の様子をうかがうことができます。

    売却の利益は確定申告で節税

    家の売却で得た利益(譲渡所得)にかかる税金は、確定申告で節税できる場合があります。譲渡所得は、確定申告の際に次の計算式で求められます。

    「譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用」

    うまく節税するためには、取得費と譲渡費用を漏れなく計上し、譲渡所得を下げることが大切です。計上できる費用として以下のようなものが挙げられます。

    取得費に含まれるもの 譲渡費用に含まれるもの
    ・取得時の仲介手数料
    ・売買契約書の印紙代
    ・取得時の登録免許税
    ・取得時の司法書士に支払った手数料
    ・取得時の不動産取得税
    ・取得のための測量費
    ・購入時の整地費用、下水道・擁壁などの設置費用
    ・リフォーム費用 など
    ・売却時の仲介手数料
    ・売買契約書の印紙代
    ・家の販売活動の広告料
    ・売却のための測量費
    ・売却のための家の鑑定料
    ・売却のための家の補修費
    ・買い主との交渉の際の交通費・通信費 など

    これらの費用を取得費や譲渡費用に加えて、正確に譲渡所得を算出しましょう。

    また、譲渡所得にかかる税金は次の方法でも節税できます。

    • 3,000万円特別控除
    • 10年超所有軽減税率の特例
    • 居住用財産の買換え特例

    「3,000万円特別控除」は、一定条件を満たす家の売却の際に、3,000万円までの譲渡所得税を控除する制度です。

    一方で「10年超所有軽減税率の特例」は、10年を超えて所有していた家を売却するときに、譲渡所得税に軽減税率を適用できる制度です。3,000万円特別控除と併用できるため、うまく利用することで大きな節税効果を期待できます。

    また、離婚で家を売却して新しい家に買い替える場合には「居住用財産の買換え特例」が適用できることも覚えておくとよいでしょう。

    2023年12月31日までの譲渡に限りますが、所有期間が10年超の一定条件を満たした家を売却して住み替える場合に適用可能です。

    “参考:国税庁No.3302 マイホームを売ったときの特例」”
    “参考:国税庁No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」”
    “参考:国税庁No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」”
    “参考:財務省令和4年度税制改正の大綱 」”

    離婚で財産分与する際の基本的な流れ

    離婚時の財産分与は次の3つの手順でおこないます。

    1. 夫婦の共有財産を正確に把握
    2. 住宅ローンの残債や家の名義人を確認
    3. 財産分与の割合を協議
    4. 財産分与の内容を書面で残して離婚

    上記の流れのように、夫婦の共有財産を把握したうえで分与の割合を協議し、内容をきちんと書面に残すことで、トラブルを抑えることができます。

    1. 夫婦の共有財産を正確に把握

    財産分与する際は、夫婦が婚姻期間中に築いた共通財産を、正確に把握する必要があります。

    夫婦のどちらかが、勤務先から受け取る給与だけで形成されたものも、特別な事情がない限りは夫婦の共有財産です。また、銀行口座や不動産などが夫婦のどちらかの名義であった場合も、共有財産として分与する必要があります。

    分与の対象になる財産 分与の対象にならない財産
    ・現金
    ・預貯金
    ・不動産
    ・株式
    ・投資信託
    ・ゴルフ会員権
    ・各種積み立て
    ・生命保険・年金保険・学資保険
    ・退職金
    ・児童手当 など
    ・独身時代の預貯金
    ・独身時代の財産をもとに形成された財産
    ・独身時代に加入していた保険
    ・実家側の親族から相続した財産
    ・実家側の親族から譲り受けた財産 など

    財産分与の対象にならないのは、独身時代の預貯金や実家側の親族から相続した財産などです。

    ここで注意したいのは、夫婦のどちらかが相手に内緒で財産を蓄えていて、離婚時に意図的に隠すケースです。この場合は共有財産として確認できず、分与できません。ただし、次のような制度を利用すれば、隠している財産を調査できます。

    • 弁護士会照会制度
    • 調査嘱託(しょくたく)制度

    「弁護士会照会制度」は、弁護士が依頼を受けた案件について、証拠や資料を収集して事実を調査できる制度です。預貯金・退職金・株式・不動産などについて、調査を弁護士に依頼します。

    また「調査嘱託制度」は、裁判所が他の機関に調査を依頼する制度です。離婚の調停や訴訟などの手続きの際に、裁判所が勤務先や金融機関などに情報の開示を求めておこなわれます。

    2.住宅ローンの残債や家の名義人を確認

    「売却で住宅ローンが完済できるか」「手続きに両者が必要なのか」を判断するため、残債や名義人の確認が必要です。

    残債は、手元にあるローン返済計画書や残高証明書を見ることが確認できます。金融機関によってはインターネット上で確認できるケースもあるでしょう。住宅ローンの残債に対して査定額や自己資金に余裕があるならば、売却を進めやすくなります。

    また家の名義は、不動産登記簿謄本や登記事項証明書で確認可能です。法務局で取得でき、インターネット申請による郵送受取を選択した場合の手数料は500円です。

    3. 財産分与の割合を協議

    離婚時の財産分与の割合は原則2分の1で、夫婦で平等に分け合います。ただし、次のようなケースでは、話し合いで両者が納得できる割合を決めることがあります。

    • 夫婦のどちらかの特殊な技能・努力で財産を形成した場合
    • 財産形成に特有財産が寄与している場合
    • 夫婦のどちらかに浪費があった場合
    • 同居していない期間があった場合

    会社役員・事業経営者・医師などで高収入を得ている場合は、特殊な技能・努力による財産の形成にあたります。また、結婚前に得たお金で株式や債券を取得し、その利益を使って家を購入した場合は、財産形成に特有財産が寄与していることになります。

    夫婦の一方に著しい浪費があった場合や、婚姻期間中に長く同居していない期間があった場合も、分与の割合が変化するため注意が必要です。

    4. 財産分与の内容を書面で残して離婚

    財産分与について話し合った内容は、離婚協議書や公正証書などの書面で残しましょう。口約束のまま放置すると、認識の違いから問題になる可能性があります。

    離婚協議書は財産分与・慰謝料・子どもの親権・養育費などについて、約束した内容を書面化するものです。裁判で証拠として提出できるため、約束が破られることへの対策になります。

    離婚協議書の作成は、弁護士や行政書士などの専門家へ依頼できますが、自分でも作成可能です。決められた形式はなく書き方は自由ですが、弁護士や行政書士の公式サイトで提供されているテンプレートを使うと作りやすいでしょう。

    また、裁判せずに離婚時の約束を履行させたい場合には、公証役場で作成される公正証書が役立ちます。法務大臣に任命された公証人が作成する公正証書には強制執行の効力があり、預貯金や不動産を差し押さえて回収することも可能です。

    離婚時の家の査定で気になる疑問

    離婚時の家の査定について、よくある疑問を3つ紹介します。それぞれ回答するので、気になるものがあればぜひ参考にしてください。

    家の査定が不要な離婚とは?

    結婚前に夫婦どちらかが購入した家で、婚姻期間中にローンの支払いがなかった場合は特有財産になります。夫婦が協力して築いた財産ではないため分与の対象とはならず、売却する予定がなければ査定する必要はありません。

    匿名査定を使えば相手にバレずに査定できる?

    匿名査定では、不動産会社に個人情報を渡すことなく、家の査定額を調べられます。不動産会社から電話がかかってきたり、訪問をうけたりすることがないため、安心して利用できます。

    匿名査定には、AI診断不動産会社の公式サイトを通しておこなう査定の2種類あります。どちらも過去の成約物件の情報から算出される概算的なものになるため、査定額はあくまでも参考程度と捉えて利用しましょう。

    匿名査定ができるおすすめサービスを以下で紹介します。

    サービス名 対応物件 特徴
    HowMa 戸建て、マンション ・AIによる瞬時な査定が可能
    ・メールアドレスの登録のみ必要
    LIFULL HOME’S 戸建て、マンション、土地 ・幅広い物件に対応可能
    ・電話営業の心配なし
    マンションナビ マンション ・全国のマンションに対応
    ・マンション名の入力で相場がわかる
    IESHIL マンション ・首都圏のマンションに特化
    ・マンション名の入力で相場がわかる

    匿名査定に関しては、以下の記事でも詳細を解説しています。

    関連記事:不動産査定を匿名でする方法とは?おすすめサービスや依頼時の注意点を解説

    土地のみ夫婦どちらか一方の名義の場合はどうなる?

    不動産の査定においては名義の状態は関係なく、土地のみどちらか一方の名義でも気にせず査定依頼可能です。

    ただし、実際に売却するときは名義の統一をおすすめします。別のままでは、土地と家でそれぞれ売買契約が必要で名義人の合意も必要で、手続きに手間がかかります。スムーズな財産分与をおこなうためにも、先に名義をそろえておきましょう。

    関連記事:土地と建物の名義が違うときの不動産売却方法は?手続きと注意点

    【離婚時の不動産売却経験者にインタビュー】売却査定の実態を聞いてみた

    今回売却された家は、結婚を期に購入された物件になりますでしょうか?

  • Wさん
    自分の名義となっています。元々は父親の名義ですが引き継ぎました。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    住宅の購入費用はW様が負担されていた形でしょうか?
  • Wさん
    売却時には、基本引継ぎでしたので、すでに親の代でローンは完済済みです。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    今回離婚をきっかけに査定・売却をされたとのことでしたが、売却という方法を選んだ理由をお聞かせいただけますでしょうか?
  • Wさん
    今後、だれも住まないことがわかりましたのですぐに売却しました。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    売却する以外の選択肢も視野にありましたか?
  • Wさん
    空き家にするだけでも税金が高いのでもとは取れないと考えて売却に至りました
  • J-Nav不動産メディア編集部
    離婚後に物件をどうするか決める際に、誰かに相談されたりしましたでしょうか?
  • Wさん
    スーモの方に相談しました。離婚後の家の管理や売却方法なども親身に相談しました。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    売却で得た金額を分ける際は、どのような比率にしましたでしょうか?また、比率はどのように決めましたか?
  • Wさん
    話し合いでは決めるのは難しいので、弁護士、行政書士に相談した上で比率を7:3に決定しました。10万円~20万円ほどの費用がかかった。
  • 財産分与をする際に、家具はどのような扱いにしましたか?

  • Wさん
    すべて売却しました。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    不動産会社に査定を依頼したタイミングについて、離婚したあとに依頼を進めた形になりますでしょうか?
  • Wさん
    離婚後の財産分与で重要になるため、事前にどの程度の価値になるのかインターネットで調べていました
  • J-Nav不動産メディア編集部
    物件の査定依頼をする上で、不動産一括査定サイトは利用しましたか?
  • Wさん
    客観的にどのくらいの金額なのかを事前に知っておくために利用しました。
  •  

    まとめ

    離婚で財産分与を適切におこなうためには、家の査定が必要です。基本的には不動産会社に査定を依頼し、トラブルが懸念される場合は、法的な効力を持つ不動産鑑定士に査定を依頼すると覚えておくとよいでしょう。

    不動産会社を利用して家を売却する際は、複数の会社に査定依頼できる不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。複数の会社が出した査定価格を比較検討することで、相場に合った適切な値段で売り出すことができます。

    本記事を参考に、自身の状況に合わせた査定依頼方法を選択し、スムーズに財産分与をおこないましょう。

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