賃貸中の物件は売却できる?売却の流れや注意点まで詳しく解説

賃貸中の物件は売却できる?売却の流れや注意点まで詳しく解説

所有する賃貸物件を売却したいと考えても、やり方がわからず困っている人もいるのではないでしょうか。通常の不動産売却とは異なり、入居者がいる物件の場合、「そのまま売却すると問題が起きてしまうのでは?」と悩んでしまうと思います。

そこで本記事では、賃貸中の物件を売却したい人向けに、具体的な方法や注意点、かかる費用と税金を解説します。トラブルなく売却を進めるためにもぜひ参考にしてください。

監修者紹介
宅地建物取引士
中野香菜 さん
株式会社ジョンソンホームズ

宅地建物取引士。2007年にジョンソンホームズ株式会社に入社し、初めの8年間は住宅営業として活躍。その後営業からマーケティングへとキャリアをシフト。現在に至るまでの8年間マーケティング部門での仕事に携わる。
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この記事のインタビュー協力者

男性 名前 Fさん
物件種別 分譲マンション一室
物件エリア 大阪
売却時期 2019年

※J-Nav不動産メディアでは、ユーザーの生の声をお届けするために、商品・サービスの利用者に直接取材を行っています。

編集部:小原

本記事では、賃貸中の物件売却の実態を知るために、売却経験のある方にインタビューを実施しました。

インタビュー内容はこちら

賃貸中の物件売却はできる?

賃貸中の物件でも売却は可能です。物件の所有権や賃貸権を購入してもらうことで、新しいオーナーに賃貸経営を引き継ぐことができます。所有権や賃貸権が変わることをオーナーチェンジといい、不動産ポータルサイトなどでは、オーナーチェンジ物件として売り出されています。

2020年4月1日以前は、賃貸中の物件売却には入居者の承諾が必要でした。しかし、民法の改正よって2020年4月1日からは、物件の所有者移転登記が完了していれば、入居者の承諾なしで新しいオーナーが家賃を請求できるようになりました。

  • 中野香菜さん
    オーナーチェンジ後のトラブルを避けるために、入居者の支払い履歴や滞納の有無、生活環境などを確認しておきましょう。
  • 賃貸中の物件売却方法

    賃貸中の物件を売却する方法は、次の3パターンがあります。

    • 入居者がいるまま売却(オーナーチェンジ)
    • 退去してもらい売却
    • 入居者に売却

    それぞれどのような売却方法なのか、メリット・デメリットを挙げて詳しく解説します。

    入居者がいるまま売却(オーナーチェンジ)

    1つ目は、入居者がいるまま売却してオーナーを変更する方法(オーナーチェンジ)です。売却先は投資家がターゲットで、売却の承諾を入居者からとる必要はありません。新しい家賃の振込先の連絡だけでよいです。

    入居者がいるまま売却するメリットとデメリット

    賃貸中のまま売却する、売り主と買い主へのメリットとデメリットは次のようになっています。

    売い主 買い主
    メリット ・物件の現金化が早い
    ・売却できるまで家賃収入が発生
    ・現状の利回りがわかる
    ・購入後すぐに家賃収入が発生
    デメリット ・売却先は投資家に限定
    ・売却価格が安くなる傾向
    ・改築や建て替えに制限
    ・入居者がいる部屋の内覧は難しい

    売り主は、建物の修繕をおこなわずに売却できるため、他の2つの方法より現金化が早い傾向にあります。売却できるまでの期間は家賃収入を受け取れる点もメリットです。

    ただし、売却先が投資家に限定されるデメリットがあり、すぐに購入希望者が見つかるとは限りません。居住用の物件売却と比べて購入希望者が狭まる点は押さえておく必要があります。

    また、買い主が改築や立て替えをするには入居者の許可がいるため、自分の思いどおりに手を加えられない可能性もあります。

    退去してもらい売却

    2つ目は、退去してもらい空室で売却する方法です。入居者と普通借家契約を結んでいる場合は、自身の都合だけで強制退去はできませんが、定期借家契約であれば、事前に期限切れのタイミングで退去を伝えておくことで、空室にできます。

    退去してもらい売却するメリットとデメリット

    退去してもらったあとに、空き家として売却するメリット・デメリットは、次のとおりです。

    売り主 買い主
    メリット ・居住用としても売却できる
    ・見た目をきれいにしてから売り出せる
    ・内覧ができる
    ・改築や建て替えを自由にできる
    デメリット ・普通借家契約だと立ち退き交渉
    ・古く傷みのある物件は売れにくい
    ・物件の状態によって出費が増える
    ・すぐに入居者が見つからない可能性

    賃貸物件を空室にしておくと、居住用物件としても売り出すことができ、買い主は投資家以外に広げられます。空室のため内覧前にハウスクリーニングやリフォームも可能です。見た目が綺麗だと、購入者からの印象がよくなりやすいでしょう。

    デメリットの立ち退き交渉は、難航することも考えられます。立ち退き料の支払いも必要になり、一時的に出費が増える可能性が高いです。また古く傷みがある物件では、リフォームやリノベーションで費用が発生する可能性があり、売却期間が長期化する恐れもあります。

  • 中野香菜さん
    物件の空室リスクを減らしすぐに家賃収入を得るならば入居中のまま。リフォームをして再度貸し出すことを希望するなら退去してもらう事が必要になります。
  • 入居者に売却

    3つ目は、現在の入居者に売却する方法です。入居者のなかには、賃貸物件を気に入って購入したいと考える人も存在するため、交渉の余地はある方法といえます。

    入居者に売却するメリットとデメリット

    賃貸物件の入居者に売却するメリット・デメリットは次のとおりです。

    売り主 買い主
    メリット ・買い主を探さなくてよい
    ・立ち退きの交渉や費用が不要
    ・自宅が資産となる
    ・引っ越しは不要
    デメリット 一棟アパート・マンションは全員に売却できる保証なし 購入のためまとまった資金が必要

    入居者と直接交渉するため、買い主を探す手間はかからず、不動産会社の仲介なしで個人売買も可能です。また、立ち退きの交渉や費用の支払いが必要ないため、手間や費用の軽減につながります。

    ただし、1棟アパート・マンションを所有する場合は、すべての入居者に1室ずつ売却するのは現実的でありません。借り主に売却するなら、マンション・アパート1室や戸建ての賃貸物件のほうが難易度は下がるでしょう

    賃貸中の物件売却の流れ

    賃貸中の物件を売却する流れは、次の5ステップです。

    1. 入居者の意思確認をおこなう
    2. 賃貸中物件の査定をする
    3. 媒介契約と売却活動
    4. 売買契約の締結と引き渡し決済
    5. 入居者への通知

    各ステップで何をすればよいのか、詳しく解説していきます。

    ①入居者の意思確認をおこなう

    入居者に退去、もしくは購入してもらう場合は、意思確認からおこないます。定期借家契約を締結している場合は、 期間満了の6ヵ月から1年前の間で退去の通知をすることで契約解除できます。

    その一方、普通借家契約では、家賃の滞納や近所迷惑など入居者に問題がない限り退去の強制はできません。基本的に契約の更新を解除するのは難しいと考えておくとよいでしょう。

    手間や費用をかけずに契約を解除したい場合は、個別に交渉をして売却したい時期までに退去してもらうのもおすすめです。賃貸人と賃借人の合意で契約解除ができるため、スムーズな解除を目指すなら話し合いによる合意解除をおすすめします。

    入居者に売却する場合は、意思確認をしてそのまま引き渡しまで進めます。契約書を作成する手間はありますが、購入者探しで不動産会社に仲介を依頼する必要はありません。

    ②賃貸中の物件の査定をする

    入居者がいるまま売却(オーナーチェンジ)する場合は、物件の価値を調べるために賃貸中の物件の査定を受けます。

    売却に向けた査定では、不動産会社に依頼するのが一般的ですが、1社のみの査定では価格の妥当性を判断することができません。最新の相場を正しく判断するためにも、複数社へ査定依頼を出して調べてください。

    査定依頼の手間を省くなら、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。1度の情報入力で複数社に同時査定依頼でき、依頼先の不動産会社を厳選してリストアップしてくれます。基本的にどのサイトも無料利用でき、1分程度の入力で査定依頼が完了します。

    顧客満足度の高い不動産一括査定サイトTOP3

    本サイトでは、顧客満足度の高い不動産一括査定サイトを知るために、実際のサービス利用者からアンケートを取りました。アンケート概要は以下のとおりです。

    調査概要 不動産一括査定サイトの満足度に関するアンケート
    調査方法 web調査
    調査項目 利用経験のある不動産一括査定サイトの以下項目を調査
    ・サイトの使いやすさについての満足度

    ・対応可能な不動産会社がスムーズに見つかったかについての満足度
    ・査定結果の納得度についての満足度
    ・不動産会社の対応・担当者の質についての満足度
    ・親族や友人にも勧めたいかどうかについての満足度
    調査期間 2022/7/22~2022/8/26
    回答数 308

    不動産一括査定サイトアンケート調査結果

    また、利用したと答えたサービスは以下のようになりました。SUUMO売却査定の利用経験者が最も多く、39回答となっています。

    各不動産一括査定サイトのアンケート回答数

    不動産一括査定サイトの顧客満足度ランキングでは、本アンケートの顧客満足度と回答数をもとに選定しています。

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    上記以外の不動産一括査定サイトを知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

    関連記事:不動産一括査定サイトのおすすめランキング!不動産売却におすすめの人気16選を比較し選び方を紹介【2022年最新】

    ③媒介契約と売却活動

    査定を受け、査定額や担当の態度から信頼できる不動産会社が見つかったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社へ仲介を正式に依頼する契約で、仲介手数料を支払い日や売却活動の進め方を決めます。

    売却活動では、調べた相場や融資の残債などを参考に売り出し価格を決め、不動産のポータルサイトやチラシに広告を出してもらいます。賃貸中のまま売却する場合は、需要や利回りをアピールして、投資先として優れている物件だと印象づけるとよいでしょう。

  • 中野香菜さん
    物件の清潔感や整然とした状態を保つことで印象を良くするのも良いでしょう。
  • いくらで売り出していても、価格交渉はありえます。はじめから交渉に応じられる価格設定にしておくと、早期の引き渡しにつながります。

    ④売買契約の締結と引き渡し決済

    価格などの引き渡しの条件を交渉し、合意できるならば売買契約を締結します。契約書にサインをすると、自己都合で簡単にキャンセルはできません。細部まで条件を確認し、後悔しないようにしましょう。

    代金の最終的な決済は引渡し時におこなわれます。物件の鍵や関連する書類を渡し、所有権移転登記をおこなうと引き渡しは完了です。

    入居者へ個人売買で引き渡す場合は、契約書の内容や手続きで漏れはないか重点的に確認する必要があります。不動産会社の仲介と異なり、第3者からのチェックがないため、抜け漏れに注意が必要です。

    ⑤入居者への通知

    オーナーチェンジで売却する場合は、買い主との手続きが済んだあとに、入居者へオーナーが変更したことを書類で通知(賃貸人の地位変更通知)します。通知には以下の項目を記載してください。

    • 新旧オーナーの氏名・住所・連絡先
    • オーナーの変更日
    • 契約内容は変わらないことの通知
    • 敷金の返済義務は新オーナー
    • 新しい家賃の振込先

    通知が遅れると、自身の口座に家賃が振り込まれてしまいます。入居者が余裕をもって対応できるよう、早めに知らせてください。

    賃貸中の物件売却で必要な書類

    説明 まとめ

    一般的な居住用の物件を売却する場合、次の書類が必要です。

    • 売却物件を購入した際の売買契約書
    • 売却物件を購入した際の重要事項説明書
    • 登記済権利証・登記識別情報
    • 建築確認済証・検査済証
    • 間取りの図面
    • 測量図・建設図面など
    • 本人確認書類
    • 住民票
    • 印鑑登録証明書
    • 実印
    • 固定資産税・都市計画納税通知書

    賃貸中の物件売却する場合は、上記書類に加えてこれから紹介する3つの書類も用意してください。

    賃貸借契約書

    オーナーチェンジによる売却では、現在の入居者との賃貸借契約書が必要です。家賃や敷金、契約解除の条件など、購入希望者が賃貸物件として知りたい情報がまとまっています。現在の契約内容を明確に伝えておくと、不安材料が減り早期の購入決断につながるでしょう。

    また、現在の入居者が家賃滞納をしている場合は、新しいオーナーにも伝えなければなりません。売却前に解決できずにトラブルを引き継ぐ際は、告知をおろそかにすると訴訟につながる可能性もあります。

    管理委託契約書

    管理委託契約書は、賃貸物件の管理を業者へ委託している場合に、手元にある書類です。購入希望者に、管理の委託方式や委託料、解約方法などを知ってもらうために必要となります。

    委託料がわかれば、実質利回りの計算にも使えるため、手元にない場合は、委託している管理業者に問い合わせてください。控えを保管しているため、コピーを受け取り購入希望者への説明に使いましょう。

    リフォームなど物件のことがわかる資料

    物件が建てられてから年月が経っていると、リフォームや修繕をしている可能性があります。建てられた当初の図面と変わっているケースもあり、おこなった工事の履歴までわかる資料があるとよいです。

    最新の図面や室内の写真があれば、入居者が住んでいて内覧ができない際に役立ちます。傷みが少ないことがわかってもらえれば、購入後のリフォーム費用を節約できるため、購入希望者の不安が低減し、価格交渉にも挑めるでしょう。

    退去してもらったあとの売却であれば、自由に内覧をしてもらえます。写真が不十分でも、目視で状態を確認してもらってください。

    不動産売却に必要な書類については以下の記事でも解説しています。

    関連記事:不動産売却の必要書類は?タイミングごとに揃えるべき書類や取得方法を解説

    賃貸中の物件を売却する際の注意点

    賃貸中の物件を売却する際は、次の3つに注意する必要があります。

    • 入居者の敷金を新しいオーナーに引き継ぐ
    • 売却後に発生する家賃を新しいオーナーに移す
    • 売却理由を明確にする

    知らないままの売却は、トラブルの発生原因となる可能性があるため、それぞれ詳しく解説します。

    入居者の敷金を新しいオーナーに引き継ぐ

    敷金は入居者から預かっているもので、退去するときのクリーニング代や家賃を滞納したときに使われます。オーナーのものではないため、賃貸中のまま売却する場合は新オーナーに引き継いでください。引き継ぎは、物件の引渡し時の決済でおこなわれます。売却価格から敷金の合計を引いた額を振り込んでもらいましょう。

    退去してもらう場合や入居者に売却する場合は、敷金の返還義務は自身にあります。退去や名義変更のそれぞれのタイミングで、入居していた人に返してください。

    入居時に敷金と一緒に受け取った礼金に返還義務はありません。どの方法で売却をしても、自身のものとしておきましょう。

    売却後に発生する家賃を新しいオーナーに移す

    物件の名義変更後の家賃は、新オーナーのものです。トラブルへの発展を防ぐためにも、確実に引き継ぎをおこなっておきましょう。

    また、家賃を先払いで振り込まれている場合は、日割り計算をして新オーナーに渡す必要があります。日割り計算では割り切れない可能性もあるため、どのように対処するかは売り主と買い主で決めてください。1円単位は繰り上げするなど、文章で残しておくとトラブルにならないでしょう。

    売却理由を明確にする

    売却理由を明確にしておけば、購入希望者は納得して購入を決断できます。黒字経営を続けている物件でも、なにか問題があるのではと、不安視されることもあるでしょう。事情を細かく伝える必要はありませんが、次のような理由であれば、納得してもらいやすいです。

    • 賃貸経営をやめたい
    • 物件を相続したが賃貸経営に興味がない
    • 売却したお金で別の投資に挑戦したい

    トラブルを抱えての売却であれば、購入希望者に説明する前に、不動産会社の担当と相談してください。理由の伝え方によっては大幅な値引き要因になり、購入を見送られる可能性もあります。

    また、トラブルを隠していると契約不適合責任という決まりで、契約解除や損害賠償もありえます。スムーズな売却をおこなえるよう、伝え方を工夫しましょう。

    賃貸物件の売却でかかる費用と税金

    賃貸中の物件売却には、さまざまな費用や税金がかかり、売却価格がそのまま手元に残る訳ではありません。どれだけ手元に残るのかを試算するため、以下を参考にしてください。

    発生する費用

    賃貸中の物件を売却して引き渡しまでに発生する費用には、次のものがあります。

    費用 目安
    仲介手数料 売却価格✕3%+6万円+消費税(速算式)
    融資の繰り上げ返済手数料 0~数万円
    家賃の精算 引き渡し日以降分の支払いで受け取った額
    立ち退き料 家賃の半年~1年分/1部屋あたり
    引っ越し料 数万円/1部屋あたり
    クリーニング費用 数万円/1部屋あたり
    リフォーム費用 数十~数百万円/1部屋あたり

    仲介手数料は、不動産会社と媒介契約を結んで売却した場合に必要です。上記の目安は法律上の上限で、実際は依頼先によって変動します。繰り上げ返済手数料は、利用している金融機関で確認してください。オンラインでの手続きをすると安くなる可能性もあります。

    立ち退き料は、交渉する入居者によって変わり、交渉が難航するとどれだけ高額でも応じてもらえないケースも考えられます。円滑に立ち退いてもらうため、引っ越し費用も含めて入居者と話し合うことが大切です。

    リフォームの必要性の判断は難しく、かけた費用がそのまま売り出し価格に反映されるわけではありません。慎重な取り組みが必要なため、不動産会社の担当と相談してから実行しましょう。

    費用を節約したい人には、オーナーチェンジか入居者への売却がおすすめです。高額になりやすい立ち退き料を避けられます。

    税金

    賃貸中の物件売却で発生する税金は、次のものがあります。

    税金 目安
    印紙税 200円~48万円
    登録免許税 1,000円/不動産1件
    譲渡所得税 短期譲渡所得:39.63%
    長期譲渡所得:20.315%

    ”参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」”
    ”参考:法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」”

    印紙税は売買契約書の作成で必要になり、記載する金額で変わります。1億円で売却できた場合の納税額は3万円です。登録免許税は、融資の完済で抵当権抹消のために納税します。

    譲渡所得税は、売却価格から購入や売却にかかった費用を引いた利益にかかる税金です。物件を所有していた期間で税率は上がり、5年以下で39.63%、5年超えで20.315%です。

    もう少しで5年超えになる場合は、売却タイミングをズラしたほうが節税になります。すでに納税している固定資産税は、日割り計算して引き渡し日以降の額を受け取ってください。

    賃貸中物件の査定方法とは

    賃貸中の物件の場合、居住用の物件とは異なり収益還元法が適用されます。計算式は次のとおりです。

    収益還元法の査定価格=1年間の利益÷利回り

    投資用物件では、購入後にどれだけの利益が得られるかが重要になるため、空室リスクや家賃の下落を考慮した計算方法もあります。

    戸建ての賃貸物件を居住用として売却する場合は、取引事例比較法で査定されます。近隣で似た条件の売却価格を参考に算出され、築年数が古くとも需要がある立地や間取りならば高額です。

    査定依頼を出すときはどのように売却したいかも伝えておくと、適切な方法で査定してくれるでしょう。

    賃貸中の物件を高く売りたいなら

    賃貸中の物件の場合、売却に伴ったさまざまな制約があるため、売るのが難しいかもと尻込みしてしまう方もいるかもしれません。ですが、物件の長所をうまく伝えることによって、高値で売ることも不可能ではないのです。

    売却価格の調査をしておく

    不動産会社での査定を考えている方は、査定を依頼する前に、自身で売却価格の相場を調査しておくことが大切です。

    相場を知らないまま不動産会社に相談してしまうと、安く見積もられて話が進んでしまう可能性もあるため、相談前にきちんと調べておき、妥当な金額で売却できるように準備しましょう。

    また、比較をするためにも、複数の不動産会社に査定を依頼することがおすすめです。

  • 中野香菜さん
    不動産情報サイトでは、各種物件の売買価格や賃料、さらには投資利回りなどの情報が提供されています。これらの情報を比較し、同じような物件の相場を把握することが可能です。
  • 賃貸物件の売却実績が多い不動産に依頼する

    より高く売るためにも、賃貸物件の売却に慣れている不動産会社に依頼するのがおすすめです。

    賃貸物件は戸建ての物件とは異なり、内見ができないなどの制約がありますが、売却実績の多い不動産会社ならそういったデメリットになりやすい点にもうまく対処してくれるため安心して任せることができます。

    【体験者インタビュー】賃貸中の物件売却経験がある方に実態を聞いてみた

    J-Nav不動産メディア_インタビュワーF様

    賃貸中の物件売却のきっかけを教えてください。

  • Fさん
    管理組合を通じて、隣の区分所有者が購入したいという話しがあったのがきっかけです。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    賃貸中の物件を売却するまでの流れを出来事に沿って教えてください。
  • Fさん
    具体的には以下のような流れでした。
    管理組合を通じて、隣の区分所有者が購入したいという話しがあった。

    隣の区分所有者と面談。

    賃貸借契約書・修繕履歴等々の開示の上、売却希望価格の開示

    売買契約の予約
  • J-Nav不動産メディア編集部
    賃貸中の物件を売却するうえで、 通常の不動産売却との違いは感じられましたでしょうか?
  • Fさん
    テナント・借主に通知。書面で了解をとる。という部分ですね。あと、管理組合への通知。管理費・修繕積立金の引落時期等々の対応。 今回はマンションのため境界確定などをする必要はありませんでした。
  • J-Nav不動産メディア編集部
    実際に賃貸中の物件を売却するうえで、 難しいと感じた点や手間だなと感じた点はありましたか?
  • Fさん
    通常の物件売却と異なり、テナントや借り主に通知して、了承を得る部分など、通常の物件売却時とは異なる点が手間に感じました。また、購入者にとって物件を購入するかの判断軸ともなるため、修繕履歴が残っていないと最悪なんです...。自分になってからの履歴は全てお渡ししました。
  • まとめ

    賃貸中の物件を売却する方法には、「オーナーチェンジ、退去してもらい売却、入居者に直接売却」の3パターンがあります。オーナーチェンジ以外では、入居者と個別に対応が必要となるため、現金化までに時間がかかるでしょう。

    退去してもらう場合は、立ち退き料が発生するため、費用が100万円を超える可能性もあります。自身の希望どおりの売却にするためにも、慎重に進め方を選んでください。

    また、スムーズな売却を実現するには、信用できる不動産会社に仲介を依頼することも大切です。不動産一括査定サイトを使うと、物件にあわせた不動産会社に査定依頼できるため、効率よく進められるでしょう。

    売却における注意点や費用についても本記事で解説しているので、敷金や家賃の取り扱いなどに注意して売却を進めてください。

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