不動産クラウドファンディングで確定申告が必要なケースとは?方法や必要書類も解説

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要なケースとは?方法や必要書類も解説

賃貸経営や不動産売却で所得が発生した場合は、確定申告をして税金を納める必要があります。では、事業者から分配金を得る不動産クラウドファンディングの利用で収益を得た場合、確定申告や納税は必要になるのでしょうか。

この記事では、不動産クラウドファンディングで得た収益に税金は課せられるのかについて解説しています。不動産クラウドファンディングで確定申告が必要になるケース、確定申告の際に用意が必要な書類についても解説しているので、確定申告を予定している人は参考にしてください。

【2024年4月最新】不動産投資型クラウドファンディングおすすめランキング16社を比較!選び方やサービスの評判も解説

関連記事:【2024年4月最新】不動産投資型クラウドファンディングおすすめランキング16社を比較!選び方やサービスの評判も解説

不動産クラウドファンディングで得た収益に税金はかかる?

不動産クラウドファンディングでは、運用益があった場合に事業者から出資者に分配金が支払われます。分配金に税金は課せられるのでしょうか。分配金の仕組みや課税の有無、確定申告が不要な場合について解説します。

分配金は出資者へ配分する利益のこと

不動産クラウドファンディングにおける分配金とは、不動産運用期間終了後に出資者に対して支払う運用益のことです。運用益には、賃貸収入による収益のインカムゲインと、不動産の売買による収益のキャピタルゲインの2種類があります。利益があった場合は分配金として還元されますが、運用成績が悪かった場合は分配金がありません。

分配金が支払われる回数や金額は、運用期間や配当の種類によって異なります。運用益がなく償還金が投資した金額よりも低くなる元本割れのリスクもあるので、案件選びは慎重におこないましょう。分配金の支払い先は、出資者の登録した口座または不動産クラウドファンディングサービス内のデポジット口座です。

関連記事:不動産クラウドファンディングで元本割れリスクは?5つの対策と信頼できる事業者も紹介

関連記事:COZUCHIで元本割れはおきる?投資で後悔しないポイントも紹介

不動産クラウドファンディングの分配金は課税対象

不動産クラウドファンディングで事業者から得た分配金の種目は雑所得に分類されるため、確定申告をおこなう際に課税の対象となります。

ただし、事業者は分配金を振り込む前に源泉徴収をおこなうため、出資者が新たに納税手続きをおこなう必要はありません。税法上の所得の種類には配当所得や不動産所得もありますが、不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得になるため間違えないように注意してください。

出資者が受け取れるのは分配金から20.42%を差し引いた金額です。源泉徴収額の内訳は所得税が20%、復興特別所得税が0.42%になります。たとえば5万円の配当金が発生した場合、出資者が受け取れるのは39,790円です。

所得税率は課税所得金額によって変動するため、所得税率が20.42%よりも低かった場合は確定申告の際に払い過ぎた税金の還付が受けれます。

雑所得20万円未満の給与所得者は確定申告が不要

1月1日から12月31日までの間に得た給与所得以外の所得が20万円未満だった場合は確定申告が不要となります。ただし、個人事業主や年収2,000万円以上の会社員、ふるさと納税や医療費控除を受ける人などは雑所得が20万円未満でも原則確定申告が必要です。

1年間の所得が不動産クラウドファンディングの収益のみで、配当金が20万円以下であれば確定申告は不要となります。後ほど詳しく説明しますが、確定申告が不要な場合でも、課税所得金額が694万円以下の場合は確定申告をすることで払い過ぎた税金の還付を受けられます。

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要なケース

不動産クラウドファンディングを利用した投資で確定申告が必要なケースは、次のとおりです。

  • 雑所得が20万円以上の場合
  • 個人事業主などもともと確定申告をしている場合
  • 課税所得額が695万円未満の場合

確定申告が必要なケースを詳しく解説していきます。

ケース①雑所得が20万円以上の場合

1年間で得た雑所得の合計金額が20万円を超える場合は、原則確定申告が必要となります。不動産クラウドファンディングの収益以外で雑所得とみなされる所得は次のとおりです。

  • 公的年金
  • 非営業用貸金の利子
  • 原稿料
  • 講演料
  • FX・仮想通貨取引による利益

フリマアプリやネットオークションで得た収入も雑所得になります。他に9種類の所得がありますが、該当しないものはすべて雑所得です。副業などの業務の場合、雑所得は収入金額から必要経費を差し引いて算出します。事業所得との違いは、事業として営んでいるかどうかです。なお、令和4年分以後はその年の前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合に、現金預金取引等関係書類を保存する必要があります。

個人事業主などもともと確定申告をしている場合

雑所得の合計が20万円以下でも、本来確定申告が必要な場合は雑所得の分も含めて申告する必要があります。確定申告が義務付けられている人は次のとおりです。

  • 個人事業主やフリーランスで1年間の所得が48万円以上の事業所得がある
  • 不動産収入や株取引で所得がある
  • 一時所得がある
  • 給与収入が2,000万円以上ある
  • 副業先の給与収入が20万円を超える
  • 給与所得者で副業や株式売買をしている

※参考:国税庁確定申告が必要な方

すでに確定申告が終わっている場合でも、不動産クラウドファンディングで得た収益を雑所得として申告する必要があるので注意してください。確定申告には金額が低くても忘れずに申告しましょう。

確定申告が不要な人でも、確定申告をすることで恩恵を受けられる場合があります。確定申告の義務はなくてもした方がよいパターンは、次のとおりです。

  • 事業が赤字になった
  • 年の途中で退職した
  • 副業先の収入から源泉徴収されている
  • 医療費が10万円を超えている
  • 寄付やふるさと納税をした
  • 住宅ローンを組んだ

2023年10月より開始されたインボイス制度により、適格請求書発行事業者になった人や前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の確定申告も必要です。漏れがないように注意しましょう。

課税所得額が695万円未満の場合

所得税は課税所得額の金額によって税率が上がっていく累進課税ため、695万円未満の場合は払い過ぎた所得税が戻ってくる可能性があります。課税所得の金額ごとの税率は次のとおりです。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円 〜1,949,000円 5% 0円
1,950,000円〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円 〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

※参考:国税庁No.2260 所得税の税率

不動産クラウドファンディングでは、分配金から20.42%が源泉徴収されます。課税所得金額が695万円未満の場合は適用される税率が5〜20%になるため、確定申告をして払い過ぎた税金の還付を受けましょう。

確定申告で必要な書類

確定申告をおこなう際には、さまざまな書類を準備する必要があります。書類ごとの詳細については、下記の表を確認してください。

必要書類 詳細
確定申告書 確定申告の手続きをするすべての人の提出が必要
本人確認書類 マイナンバーカード(個人番号カード)
持っていない場合:通知カードまたは住民票の写し又は住民票記載事項証明書と身元確認書類(運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、身体障害者手帳、在留カードのいずれか一つ)
所得金額がわかるもの ・青色申告の場合:青色申告決算書
・白色申告の場合:収支内訳書
・譲渡所得がある場合:譲渡所得の内訳書
・雑所得がある場合:収支内訳書(前々年の雑所得が1,000万円を超える場合)
・給与所得がある場合:申告する年分の給与所得の源泉徴収票
・公的年金を受給している場合:申告する年分の公的年金等の源泉徴収票
控除申請に必要な書類 ・医療費控除を受ける場合:医療費の明細書、医療費通知の原本など
・セルフメディケーション税制の控除を受ける場合:セルフメディケーション税制の明細書
・社会保険料控除を受ける場合:社会保険料控除証明書
・小規模企業共済等掛金控除を受ける場合:支払った掛金の証明書、電磁的記録印刷書面など
・生命保険料控除を受ける場合:生命保険料、介護保険料、個人年金保険料を支払ったことがわかる書類
・地震保険料控除を受ける場合:支払額を証明する書類、電磁的記録印刷書面など
・寄附金控除を受ける場合:寄付金の受領証
・住宅ローン控除を受ける場合:住宅借入金等特別控除額の計算明細書、借入金の年末残高等証明書、登記事項証明書、工事請負契約書など
・雑損控除を受ける場合:被害に関する支出の領収書
銀行口座がわかるもの 通帳やキャッシュカードなど

※参考:国税庁〔令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類

不動産クラウドファンディングで分配金を得ている場合は、支払調書の準備が必要です。支払調書は不動産クラウドファンディングの事業者が翌年の1月31日まで発行します。ダウンロードも可能なので忘れずに用意しておきましょう。

確定申告の方法

一般的な確定申告の手順は、次のとおりです。

  • 所得金額を確認する
  • 必要書類を用意する
  • 確定申告書を作成する
  • 確定申告書を提出する
  • 税金の納付または還付を受ける

確定申告の手順を詳しく見ていきましょう。

所得金額を確認する

まずは1年間の所得金額を確認します。最初に説明しましたが、不動産クラウドファンディングの収益など給与所得以外の所得が20万円以上ある場合は確定申告が必要です。

必要書類を用意する

次に確定申告に必要な書類の準備に取りかかります。青色申告にするか白色申告にするかで必要書類が変わるため、申告の方法を決めましょう。青色申告を選択したい場合は、対象となる年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

確定申告書を作成する

確定申告書の作成方法は、次の4通りです。

  • 国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する
  • 確定申告ソフトを利用する
  • 手書きで作成する
  • 税理士に依頼する

国税庁のサイトや確定申告ソフトを利用する場合は、パソコンかスマートフォンが必要になります。手書きで作成する場合は、税務署まで取りに行くかデータをダウンロードして確定申告書を入手してください。税理士に依頼する場合は報酬を用意する必要があります。それぞれのやり方にメリット・デメリットがありますが、自分に合った方法で確定申告書を作成しましょう。

確定申告書を提出する

確定申告書の提出方法は、次の3通りあります。

  1. e-TAXを利用する
  2. 郵便または信書便で送付する
  3. 税務署の受付に提出する

e-TAXによる電子申告の場合は、スマートフォンやICカードリーダーの準備が必要です。利用者識別番号とパスワードを取得しておく必要があります。確定申告書のデータに電子署名および電信証明書を添付して申請データを送信するだけで手続きは完了です。送信データの審査結果は、e-TAXソフト内のメッセージボックスで確認できます。

郵送の場合は、確定申告書が信書扱いとなるため郵便物(第一種郵便物)または信書便物で送付します。届いた日を確認したい場合は、簡易書留で送付すると追跡が可能です。通信日付印が提出日になるため、期限ギリギリに送付すると間に合わない可能性があります。控えが必要な場合は、返信用封筒と切手を同封しましょう。

持ち込みの場合は、納税地を管轄している税務署に提出します。確定申告の期間内は相談会を開いているので、わからないことを直接聞きたい場合におすすめです。大変混み合うことが予想されるため、時間に余裕を持って向かいましょう。税務署によっては入場整理券を発行している場合もあります。

税金の納付または還付を受ける

納める税金がある場合は、決められた期間内に納付します。所得税の納付は、次の中から好きな方法を選択することが可能です。

  • 振替納税
  • 現金納付
  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキングからの納付
  • クレジットカード納付
  • コンビニ納付
  • スマホアプリからの納付

税金の還付がある場合は、確定申告の完了から1ヶ月程度で登録した銀行口座に還付金が振り込まれます。預貯金口座への振込み以外には、最寄りのゆうちょ銀行各店舗または郵便局に出向いて受け取ることも可能です。

不動産クラウドファンディングの確定申告に関するQ&A

最後に不動産クラウドファンディングの確定申告に関するよくある質問は、次のとおりです。

  • 確定申告を故意にしなかった場合はどうなる?
  • 確定申告の期間は?
  • 節税はできる?
  • 何を経費にできる?

疑問を解消してから確定申告の準備に取りかかりましょう。

確定申告を故意にしなかった場合はどうなる?

確定申告の義務があるのにしない場合は無申告になります。税務署の調査が入る前に申告した場合も調査が入った後に申告した場合もペナルティがあるので注意してください。

申告期限を過ぎ税務調査が入る前に申告した場合は、期限後申告になります。期限後申告の無申告加算税の税率は5%です。税務調査が入り無申告であることが判明すると無申告加算税が科せられます。納税額が50万円未満の場合で15%50万円を超える場合で20%の税率です。

また、期限を過ぎた日数分の延滞税も追加で徴収されます。確定申告が遅れれば遅れるほど負担が重くなっていくので、できるだけ早めに申告しましょう。

確定申告の期間は?

原則として毎年2月16日〜3月15日までとされています。確定申告の義務がある人は定められた期間内に確定申告をしなければなりません。なお、令和6年度能登半島地震により被害を受けた石川県と富山県の方は、申告期限が自動で延長される措置があります。

節税はできる?

不動産クラウドファンディングで払い過ぎた税金は確定申告によって取り戻すことができますが、現物不動産取引で得られるような節税効果はないです。低リスク、低労力で資産を運用できることが魅力であることを把握した上で利用してください。

何を経費にできる?

不動産クラウドファンディングで利益を得るために書籍やセミナーに参加した際にかかった費用は、経費として計上できる可能性があります。インターネット通信料も計上することが可能です。経費が増えれば所得金額を少なくできるため、かかる税金の負担も軽くすることができます。

まとめ

不動産クラウドファンディングでは出資金に税金はかかりませんが、事業者から運用益として受け取る分配金には税金がかかります。分配金は雑所得とみなされ事業者が源泉徴収をおこなうので、出資者が税金を納める手続きをする必要はありません。しかし、確定申告をすればよって払い過ぎた税金の還付を受けることができます。

給与所得以外の所得が一定金額を超える場合も通常通り確定申告が必要です。1年間で得た雑所得が20万円を超える場合も確定申告が必要になります。今回は確定申告の必要書類や確定申告の方法についても解説しました。不動産クラウドファンディングで得た利益は忘れずに申告しましょう。

TOPへ