中古マンションの購入における11の注意点!物件の選び方から契約時まで

中古マンションの購入における11の注意点

マンションの価格は高騰傾向にあり、特に都心では新築マンションを購入するとなると1臆円を超える「億ション」も珍しくありません。そのため、中古マンションの購入を検討する人も多くなっています。

しかし、中古マンションといっても一生で購入するものなかではトップクラスに高額であることに変わりなく、失敗による後悔は住み続ける限り続きます。

そこで本記事では、中古マンションを購入する11の注意点を徹底解説。中古マンションを購入する前の注意点と、中古マンションを契約するときの注意点に分けて解説していきます。

初めての中古マンション購入でも不安を解消できるよう基礎知識も紹介するので、ぜひ参考にして理想の中古マンションを手に入れてください。

監修者紹介
宅地建物取引士
中野香菜 さん
株式会社ジョンソンホームズ

宅地建物取引士。2007年にジョンソンホームズ株式会社に入社し、初めの8年間は住宅営業として活躍。その後営業からマーケティングへとキャリアをシフト。現在に至るまでの8年間マーケティング部門での仕事に携わる。
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中古マンション購入前の8つの注意点

予算の検討や中古マンション探しから、不動産会社選びなど契約前までの注意点は次の8つです。

  • 予算は返済に無理のない範囲か
  • 資産価値が落ちにくい立地か
  • 耐震性の高いマンションか
  • 相場にあった価格か
  • 維持費の支払いが負担にならないか
  • マンションの管理体制に問題はないか
  • どこまでリフォーム・リノベーションが可能か
  • 相談をする不動産会社は信用できるか

それぞれ注意が必要な理由と対策について解説します。

予算は返済に無理のない範囲か

中古マンションでも数千万円する物件が多いため、場合によっては住宅ローンも必要になるでしょう。毎月の返済額はいくらまでなら無理なく返済していけるかを考えて、マンションの予算を決定してください。

返済に無理がないか判断がつかない場合は、次の返済比率を使ってみてください。

返済比率=年間の借入金の返済額÷手取り年収✕100

無理のない返済比率の目安は20~25%で、額面の年収だと25~35%になります。借入金の返済額には、住宅ローンだけでなく車のローンやクレジットカードのリボ払い、スマートフォンの分割払いなども含まれます。他の借入金もリストアップして、年間いくらまで返済可能なのか計算しましょう。

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資産価値が落ちにくい立地か

購入する中古マンションには長期間住む予定であっても、将来住み替えや介護施設への入居などでマンションを手放す必要が出てくるかもしれません。マンションを売却する予定がある場合は、資産価値が落ちにくい立地のマンションを購入しておくと、売却時に後悔することなくスムーズに売却できる可能性が高まります。

次の条件を満たす立地であれば、資産価値が落ちにくいです。

  • 主要な交通機関から近い
  • 生活に役立つ商業施設や公共施設が近い
  • 人口が増加傾向の地域
  • 周辺の開発予定がある
  • 災害リスクが低い
  • 日当たりがよい
  • 騒音に悩まされない

周辺の交通機関や施設については、Google Mapなどを利用すればネット上で簡単に調べることができます。人口の増減や開発予定、災害リスクについては、最寄りの役所の公式サイト統計情報・都市開発の計画・ハザードマップなどで確認可能です。

日当たりや騒音については、内覧をする際にチェックをしましょう。構造や周辺の建物によって、南向きでも日当たりが悪いケースがあります。

耐震性の高いマンションか

1981年6月1日以前に建てられた古い中古マンションでは、適用されている耐震基準が異なるため安全性が低いです。現在の新耐震基準では震度6~7でも倒壊しない性能ですが、旧耐震基準では震度5程度の耐震性しかありません。

また、旧耐震基準の中古マンションでは、住宅ローンの審査にも悪影響がでます。耐震性の低さや経年劣化が理由で、担保として評価されません。1981年6月1日以前の中古マンションを購入するならば、インスペクション(構造の検査)を受けて新耐震基準をクリアしているものを選ぶとよいでしょう。

相場にあった価格か

中古マンションの売り出し価格は、売り主が自由に決めることができます。物件によっては相場より極端に高額になっているケースがあります。どれだけ希望の立地や間取りの物件でも、そのまま購入しようとすると損です。相場を把握できていると、それを根拠にして値引き交渉がしやすいです。

購入する中古マンションの相場を調べる方法は、次の2通りです。

レインズマーケットインフォメーションは、国土交通省から指定された全国の不動産流通機構が運営するサイトです。直近1年で成約した中古マンションの価格を調べることができます。また、土地総合情報システムは、国土交通省が運営するサイトで、2005年から直近までの成約した価格の検索ができます。

どちらも希望の立地や間取りで絞り込みをすると、最新の相場をチェックしやすいです。利用は無料のため、気軽に調べてみましょう。

維持費の支払いが負担にならないか

中古マンションを購入すると、住宅ローンの返済以外で次の費用が維持費としてかかり続けます。

維持費 相場
共益費(管理費・修繕積立金など) 1万5,000~3万5,000円/月
固定資産税・都市計画税 10~30万円/年
保険料(火災保険・地震保険など) 1~2万円/年

修繕積立金は、築年数が経っているマンションほど高額になる傾向です。また、管理費も人件費の高騰で、将来は値上がりする可能性が高いです。住宅ローンの返済も含めて、維持費が日々の生活の負担にならないか事前にシミュレーションをしましょう。

保険料については、割安な保険を選んだり長期の一括払いをおこなったりすることで節約は可能です。保証の範囲や支給額を比較して、総額で負担の少ないものを選んでください。

マンションの管理体制に問題はないか

中古マンションで長く快適に生活できるかは、管理体制にかかっています。次の4か所をチェックしてみましょう。

  • エントランス
  • 駐輪場
  • ゴミ捨て場
  • 外壁・廊下のひび割れや塗装の剥がれ

管理会社が入っていても適切に管理されていないマンションはあります。古いマンションで改修や修繕履歴がなければ、今後が不安です。内覧をする際は、室内だけでなく共用部分にも注目して、全体の善し悪しを判断しましょう。

どこまでリフォーム・リノベーションが可能か

マンションは新築中古にかかわらず、自由なリフォーム・リノベーションはできません。管理規約で、水回りのレイアウト変更や床材の変更が禁止されている場合があります。全体のデザイン性に関わるため自室の外壁やサッシ、バルコニーの変更には管理組合の許可が必要です。

また、管理規約は問題なくとも、次のようなケースで制限がかかります。

  • 強度を確保するため特定の壁は破壊できない
  • 構造的に排水管の位置を希望通りに移動できない
  • 物理的にユニットバスを入れられない

大がかりなリフォーム・リノベーションは制限かかかる可能性があると覚悟しておきましょう。

相談をする不動産会社は信用できるか

悪質な不動産会社は、自社の利益を優先して条件の悪い中古マンションを買わせようとしたり、不利になる内容は質問してもはぐらかしたりします。物件探しや値引き交渉、アフターフォローまで、不動産会社に頼る部分は多いです。信用できるところを選ばないと、損をする取引になってしまうかもしれません。

相談をする不動産会社は、中古マンションの取り扱い実績や提供されているサポート、SNSなどの口コミ・評判から厳選するとよいでしょう。自身との相性もあるため、担当者と実際に話してから最終的に不動産会社を決定することをおすすめします。

中古マンションの購入契約時の注意点3つ

マンション購入計画からマンション探し、不動産会社選びまでの注意点を解説してきましたが、購入時の契約をする際にも注意すべき点があります。

  • 契約書の細部まで納得できるか
  • 住宅ローンの審査は通るか
  • 契約不適合責任の範囲や期限は十分か

注意する具体的なポイントを解説していきます。

関連記事:戸建て購入時に確認する17の注意点|新築・中古別にデメリットも紹介

契約書の細部まで納得できるか

見慣れない用語が多く難しいと感じても、契約書は細部までチェックして納得できてからサインをしましょう。分からない部分は、些細なことでも担当者に質問するとよいです。

契約を締結する際は、重要事項説明書というもので次の内容について確認します。

  • 不動産の情報(名前、住所、所有権など)
  • 建築基準の決まり(用途地域、制限など)
  • ライフライン
  • 部屋の情報
  • 維持費の詳細
  • マンションの管理体制
  • 支払いの総額・内訳
  • 引渡しの予定

住宅ローンの審査は通るか

住宅ローンの審査は、返済に余裕のある融資額でも、確実に通る保証はありません。収入があっても、担保評価の低さや他の返済の滞納などで落とされる可能性があります。

仮審査に通っている人でも、7%程度は本審査に落ちているのが実態です。本審査の結果が判明するのは売買契約の後になるので、契約に住宅ローン特約というものを入れておくとよいでしょう。住宅ローン特約があれば、審査に通らず購入をキャンセルしても、違約金などのペナルティは不問になります。

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契約不適合責任の範囲や期限は十分か

契約不適合責任とは、契約書に記載がなかった建物の不具合について、売り主が修繕などの一定の責任を負う決まりです。責任の適用範囲や期間は任意の変更が可能で、契約書に規定を記載して合意された内容が適用されます。

基本は、不具合に気づいてから1年以内に売り主に報告すると、対応する義務が発生します。引渡しから10年は適用されるので、売り主はリスク回避のため、適応範囲や期間を短くしているケースがあります。すぐに不具合に気づけない可能性も考慮し、十分でなければ期間を延ばすなどの交渉をしましょう。

中古マンションを購入する際の基礎知識

中古マンションの購入で後悔しないためにも、注意点だけでなく基礎知識として次のことも把握しておきましょう。

  • 中古マンションの資産価値と築年数
  • 中古マンションを購入するメリット・デメリット
  • 中古マンションを購入するまでの流れと期間
  • 中古マンションのリフォームの相場

中古マンションの資産価値と築年数

中古マンションの資産価値は、新築時を100%とした場合、築年数によって次のように減少します。

“画像出典元:国土交通省中古住宅流通、リフォーム市場の現状」”

マンションの場合、木造の戸建てよりはコンクリートなどが使われているため頑丈で、資産価値の減少は緩やかです。それでも築25年ともなると、資産価値は新築時の50%程度です。

一般的には上図のように資産価値が築年数とともに減少していきますが、都心のマンションやそのほか主要都市のマンションなど、立地によっては資産価値が下がりにくいマンションもあります。

中古マンションを購入して、将来的に売却する予定の人は、なるべく資産価値の下がりにくい好立地にあるマンションを選ぶとよいでしょう。

中古マンションを購入するメリット・デメリット

中古マンションは、新築マンションの購入と比べて、次のメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
価格が安い
・リフォーム・リノベーションにお金を回しやすい
・現物を確認できる
・よい立地の物件が見つかりやすい
・修繕積立金が高額になる可能性
・仲介手数料がかかる
・物件によって耐震性に不安
・設備が古い

需要がある立地で競争が激しいマンションでも、新築時より安いため購入しやすく浮いたお金でリフォーム・リノベーションが可能です。確認はモデルムールと違い、現物で日当たりや展望まで見られます。

デメリットは、仲介手数料や修繕積立金といった金銭面に関するものと、耐震性や設備故障の不安などマンションの古さが原因のものに分かれます。デメリットもきちんと把握したうえで、中古マンションの購入を検討しましょう。

中古マンションを購入するまでの流れと期間

中古マンションの購入における、準備から引渡しまでの流れは次のようになっています。

  1. 予算計画
  2. 物件探し
  3. 内覧
  4. 購入の申し込み
  5. 住宅ローンの仮審査
  6. 売買契約
  7. 住宅ローンの本審査
  8. 決済・引渡し

スムーズに物件が見つかれば、引渡しまで1~2ヵ月です。立地や価格など希望に優先順位を付けておくと、候補を紹介してもらいやすく早期に引渡しまで進めるでしょう。

中古マンションのリフォームの相場

リフォームの相場は、リフォーム箇所ごとで次のようになっています。

リフォーム箇所 相場
フルリフォーム 300~1,000万円
キッチン 80~150万円
トイレ 15~40万円
お風呂 80~150万円
洗面台 20~40万円
クロス 40~50万円
フローリング 70~90万円
ドア 3~6万円/1枚

どこまでリフォームするかは、設備の傷み具合や予算を考慮しつつ決定しましょう。予算オーバーしそうな場合は、DIYでリフォームするという選択肢もあります。

中古マンションを安く購入するコツ

新築より割安な中古マンションを購入したいと思っても、物価の高騰や収入の伸び悩みがあると、なかなか踏ん切りがつきません。そこで、安く購入するコツとして次の2つを解説します。

  • 値引き交渉をする
  • 無償譲渡の中古マンションを探す

値引き交渉をする

中古マンションの購入は、売り主が合意してくれるならばいくらでも取引は成立します。売り出されている価格で購入する必要はないため、値引き交渉をもちかけましょう。そもそも、売り主側は値引き交渉を見越した売り出し金額を設定していることも多いです。

値引きの相場は売り出されている価格の3~5%で、建物や設備の傷み具合、10万円単位の端数切りなどを理由にできます。また調べた相場も根拠にすると、説得力は増します。

実際の交渉は不動産会社の担当がしてくれるので、要望を細かく伝えておきましょう。

無償譲渡の中古マンションを探す

中古マンションの中には、立地の悪さや築年数の古さが原因で無償譲渡の物件があります。地域によっては自治体の補助金が適用され、リフォーム・リノベーションの費用も軽減可能です。田舎暮らしをしたい、できるだけ安く購入したい人は、検討してみましょう。

無償譲渡の中古マンションを探すには、各自治体が運営している空き家バンクを利用してください。売り主とのマッチングをしてくれて、仲介手数料がかからない個人取引ができるケースもあります。

中古マンションの購入で気になる疑問

最後に、中古マンションの購入でよくある次の疑問について解説します。

  • 中古マンションの購入時期はいつがよい?
  • 独身で購入しても後悔しない?

中古マンションの購入時期はいつがよい?

年度の切り替わりである4月から新生活を始めるため、中古マンションは1~3月に多く売り出されます。需要が高いことから割安感は低くなりますが、多くの物件を比較したい人はこの時期に探すとよいです。

低予算での購入を目指す人は、4月以降をおすすめします。1~3月の売れ残りであれば値引き交渉をしやすく、予算内に収まるでしょう。そのかわり物件の数は減るため、希望のものは見つかりにくくなります。

独身で購入しても後悔しない?

独身向けのワンルームなどの中古マンションは、東京でも数百万円から購入可能です。賃料を払い続けるより資産になるため、購入する人はいます。住宅ローンを組んでも若いうちに返済しやすく、定年前に完済できていれば、収入が低下しやすい老後に賃料の不安がありません。

将来の結婚などで手狭になれば手放す可能性はありますが、賃貸経営を始めると収入を増やせます。将来の利用方法まで考えて購入するならば、後悔はしにくいです。

まとめ

中古マンションの購入は、今後の人生を左右する大きな決断です。本記事で紹介してきたように、予算決めや物件選び、契約で注意点は多いですが、知識があればリスクは下げられます。

マンションの相場やメリット・デメリット、安く購入するコツも参考に、理想的な中古マンションを購入しましょう。予算や希望だけでもまとめておくと、気になる物件を見つけたとき、すぐに行動できます。

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