戸建てを売却する相場はいくら?調べ方や築年数による違いも解説

戸建ての売却相場はいくら

戸建ての売却は、相場を知らないまま売り出してしまうと、損をしたりいつまでも売却できなかったりする可能性があります。戸建て売却を成功させるためには、相場を把握したうえで売却金額を設定するようにしましょう。

本記事では、戸建ての売却相場について、2023年のデータや最新相場の調べ方、売却のコツを解説。ぜひ参考にして、納得できる価格で戸建てを売却してください。

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【2023年】戸建て売却の相場

戸建ての売却相場は、築年数や立地などで大きく変わります。定価がないため、ニーズによっては前年より10%単位で売却相場が変動することは珍しくありません。まずは2023年の統計データから、築年数別や地域別の戸建て売却の相場を紹介していきます。

首都圏の築年数別の相場

戸建ての売却価格は、国土交通大臣から指定されている不動産流通機構(レインズ)が、登録不動産会社から集計した結果を定期的に発表しています。2023年1月~3月のデータによると、首都圏での築年数別の相場は次のようになっています。

築年数 売却価格 前年同期比
~築5年 5,006万円 6.5%
~築10年 4,717万円 6.0%
~築15年 4,475万円 3.5%
~築20年 4,358万円 8.0%
~築25年 3,908万円 -0.6%
~築30年 3,559万円 10.3%
築30年~ 2,597万円 12.0%

“参考:レインズ首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】 」”

築年数による売却価格の低下はありますが、基本的に前年同期より相場は上昇しています。実際に売買されている物件の土地の面積は115.7~179.7平米、建物の面積は98~114平米です。築30年超えであっても2,500万円以上となり、首都圏では古い物件でも価値はまだまだあります。

その他の地域別の相場

首都圏以外の相場は、中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズの季刊市況レポートより、次のようになっています。

地域 2023年1~3月 2023年4~6月
中部地方 2,146万円 2,136万円
近畿地方 2,387万円 2,268万円
中国地方 1,618万円 1,586万円
四国地方 1,451万円 1,483万円
九州地方 2,093万円 2,084万円

“参考:中部レインズ季刊サマリーレポート(2023年4~6月期) 」”
“参考: 近畿レインズマンスリーレポート ダイジェスト 2023年7月号」”
“参考:西日本レインズ月次サマリーレポート(2023年6月度)」 ”

この相場は築年数にかかわらず、売却が成立した価格で平均をとっています。どの地域も首都圏の築30年超えより安いです。また、地方ほど相場は安い傾向です。

戸建て売却の相場を調べる3つの方法

上記で紹介した相場も、実際の売却時期が何ヵ月も先ではあまり役に立ちません。そこで、最新の戸建ての売却相場を調べられる3つの方法を紹介します。

  • 不動産一括査定サイトで依頼
  • 過去の事例から分析
  • 売り出し価格から推測

不動産一括査定サイトで依頼

1つ目は、不動産一括査定サイトを利用して、複数社への査定依頼をおこない相場を把握する方法です。不動産会社の査定額は、これから3ヵ月程度で売却できるであろう価格です。複数社へ依頼して平均を取ると、最新の相場が分かります。

不動産一括査定サイトを利用すれば、1度の物件情報の入力で複数社へ査定を依頼できます。物件の種類や立地から、対応してくれる不動産会社を自動でリストアップしてくれるため、個別に連絡先を調べる手間がかかりません。

不動産一括査定サイトはいくつもあるので、次の記事で紹介しているおすすめや選び方を参考にしてください。

関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2024年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も

過去の事例から分析

2つ目は、過去の売却事例から似た条件のものを探し分析する方法です。直近の1~3ヵ月程度のデータを収集し、平均を取った相場は売り出し価格の参考になります。

Web上で過去の事例を調べる場合、次の2つのサイトを利用しましょう。

土地総合情報システムは、国土交通省が運営するサイトです。不動産取引価格情報検索を利用すると、2005年7月から直近の四半期までで、売却が成立した価格を調べられます。立地や建物・土地の面積、築年数などで売却したい戸建てと似た取引を探してみましょう。

レインズマーケットインフォメーションは、上記で紹介した不動産流通機構が運営しているサイトです。直近1年で取引が成立した価格を、戸建てとマンションに分けて調べられます。間取りや駅からの距離などでも絞り込みができるので利用しやすいです。

ただし、周辺に不動産が少ない田舎など、売却例が少ない場合はあまり参考になりません。他の方法を検討しましょう。

売り出し価格から推測

3つ目は、不動産のポータルサイトなどを使い、売り出し価格から推測する方法です。各種サイトの絞り込み検索では、リフォームの有無や日当たり、周辺の環境などで、細かく指定して似た条件の物件を探せます。

ただし、売り出し価格は実際に売却できた価格ではないため、相場価格であるとは限りません。値引き交渉を考慮した価格設定になっている可能性もあるため、相場価格は数十万円ほど低く見積もっておくとよいでしょう。

地域によっては、1つのサイトで似た物件が見つからないケースもあります。どのサイトも無料で検索できるため、複数サイトでのデータ収集をおすすめします。

戸建て売却の相場に関する基礎知識

そもそも戸建ての売却相場は、どのように推移しているのでしょうか。相場の決まる要因や築年数による価格の減少幅も知っておくと、売り出すタイミングの見極めにも役立ちます。

戸建ての売却価格推移

戸建ての売却価格の推移は、国土交通省が四半期ごとに発表している不動産価格指数が参考になります。2008年4月~2022年12月までの推移を表でまとめました。

“データ引用元:国土交通省不動産価格指数」”

20210年と比べると、2023年は戸建ての価値が20%程上昇しています。マンションよりは、上昇幅が緩やかです。

しかし、大きな流れとしては上昇をしていても、1つ前の四半期より減少することはよくあります。過去のバブル崩壊のように、突然の暴落もあり得ます。

2023年の不動産市況動向について詳しく知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

関連記事:2023年不動産市況動向を予測!今後の見通しと価格に影響する要因

相場が決まる要因

戸建ての売却価格の相場は、主に次の7つの要因で決まります。

  • 築年数
  • 立地
  • 面積
  • 土地の形
  • 間取り
  • 物件の状態
  • 不動産市況動向

築年数は、新しいほど経年劣化が少ないと判断してもらえます。立地は、最寄りの交通機関までの近さや周辺にある商業や公的施設などが関係しています。

面積は広いほど高額になりますが、広すぎると1坪当たりの単価は下がる傾向です。戸建てならば30~60坪程度が標準的な広さです。土地の形状は、三角形や旗竿状などの不整形地だと下がります。間取りは2LDKや3LDKの需要が高い傾向です。

物件の状態は、多少の傷みがあってもリフォーム・リノベーションで改善可能ならば、そのままでも売却できるでしょう。

築年数による戸建ての価値の減少幅

戸建ての価値は築年数によって、次のように減少します。

“画像出典元:国土交通省中古住宅流通、リフォーム市場の現状」”

一般的に、木造の戸建てでは築20年を超えてしまうと新築で購入した時の10%の価値しかないと考えておきましょう。マンションに比べて減少幅が大きい理由は、構造による耐久性の違いです。鉄骨鉄筋コンクリート造であれば、木造より頑丈で価値は落ちにくい傾向にあります。

築20年を超えてしまった戸建ての売却では、築年数による売却価格への影響は小さくなります。

戸建てを相場に見合った価格で売却するコツ

調べた相場で売り出しても、すぐに買い主が見つかるとは限りません。予定通りに売却できず無理な値下げをしないよう、次の5つのコツを実践しましょう。

  • 余裕のあるスケジュールで売却する
  • 仲介を依頼する不動産会社を厳選する
  • 最低の売却価格を事前に決定しておく
  • 戸建てを売却するタイミングを検討する
  • 内覧前に見栄えを整える

余裕のあるスケジュールで売却

戸建ての売却は、余裕のあるスケジュールを組んでおくと、相場より安い値下げ要求をされても、断って次の問い合わせを待てます。1ヵ月や2ヵ月後に購入希望者が現れる可能性はあります。

スムーズに手続きが進んだ場合でも、戸建てを引渡すまでの期間は3~6ヵ月が目安です。遅いと売却まで1年以上かかることも十分にありえるので、時間がかかるものとして戸建ての売却に臨みましょう。

準備段階から関連する手続きが完了するまでの流れについては、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事:不動産売却の流れとは?必要書類や契約方法など7つのステップで解説

仲介を依頼する不動産会社を厳選

戸建ての売却の成否は、仲介を依頼する不動産会社の担当者の影響が大きいです。実績があり信用できる担当者と出会えれば、相場通りの価格で買い主を見つけてくれる可能性も高くなるでしょう。

不動産会社を厳選するために、次のポイントをチェックするとよいでしょう。

  • 類似物件の実績の多さ
  • 店舗の近さ
  • 査定額の信頼度
  • 担当者の対応

実績が多い不動産会社であればノウハウが蓄積されており、すでに顧客を抱えている可能性もあります。公式サイトを見て戸建ての売却が得意かどうかもチェックしましょう。

店舗が売却したい戸建ての近くにあると、周辺地域に詳しい可能性が高いでしょう。査定額は調べた相場に近く、納得できる根拠を説明してもらえると信頼度は高いといえます。

担当者との相性がよければ、希望を細かく伝えられ、売却で要望を反映させてもらいやすくなります。SNSなどの口コミ・評判も参考にしつつ、実際に担当者と話してから依頼先を決めるとよいです。高評価の不動産会社でも、担当者と相性が合う保証はありません。

不動産会社の厳選方法については、次の記事でも解説をしています。

関連記事:不動産売却するならどこがいい?大手と中小の違いや選び方を解説

最低の売却価格を事前に決定

どこまで値引き交渉に応じるかの、最低の売却価格を事前に決めておくと、それ以下の価格を要求されても迷わず断れます。売買契約は売り主と買い主の合意で成り立っており、無理をして応じる必要はありません。

最低の売却価格をいくらにするかは、調べた相場やローンの残債などから決めます。自身の利益ばかり優先するのは避けましょう。実際に売り出す際は、値引き交渉に応じる前提で、最低の売却価格に1~2割程度は上乗せしたものにします。

戸建て売却のタイミングを検討

戸建ての売却のタイミングは、近隣で競合になる物件が相場より安く売り出されている際に検討が必要です。同時期に相場で売り出しては、比較をされて売れにくくなってしまいます。売却を急いでいない人は、競合がいなくなるタイミングにズラしましょう。

注意点は、タイミングをズラすことで築年数が古くなり、建物部分の価値が下がることです。不動産会社の担当者と話し合い、最適な時期を見極めましょう。

内覧前に見栄えを整える

内覧で悪い印象を持たれてしまうと、値引き交渉の額が大きくなりやすいです。次の準備をおこない、見栄えを整えておくと値引きされる要因を減らせます。

  • 整理整頓
  • 水回りを中心とした掃除
  • 生活臭の消臭
  • 庭の草むしり

掃除に関しては、ハウスクリーニングを依頼するのも1つの手です。内覧でチェックされやすい水回りだけであれば、数万円程度で対応してもらえるでしょう。

生活臭に関しては、自身での認識は難しいかもしれません。担当者や近くに住んでいる親族、友人知人などに、消臭後を確認してもらってください。

すでに空き家の戸建ての場合は、ホームステージングを依頼する方法もあります。専門家に内容や家具をコーディネートしてもらうため、モデルルームのような見た目になります。

戸建ての売却にかかる費用を節約するには?

戸建て売却にはさまざまな費用がかかるため、手元に売却額がそのまま残ることはありません。ここでは実際に売却にかかる費用や、節約方法について解説していきます。

戸建ての売却には費用がかかる

戸建ての売却では、場合に応じて次の項目で費用がかかります。トータルで100万円以上になるケースもあります。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消費用(ローンが残っている場合)
  • ローンの一括返済の事務手数料
  • 測量費用(境界が曖昧な場合)
  • ハウスクリーニング代(依頼するする場合)
  • 引越し代(住み替えをする場合)
  • 譲渡所得税(売却で利益がある場合)

特に高額になりやすいのが仲介手数料です。仲介手数料は不動産会社への仲介の成功報酬のことで、売却金額が400万円超えの場合は、次の式で仲介手数料の上限を計算できます。

仲介手数料の上限=(売却価格✕3%+6万円)+消費税

首都圏の戸建てで築30年までの相場3,559万円を使うと、仲介手数料の上限は124万円です。

また、譲渡所得税は売却の利益に対して、20~40%程度の税率がかかります。

確定申告で控除や特例を適用して節税

戸建ての売却では、確定申告で控除や特例を適用させると、利益によっては譲渡所得税をゼロにできます。例えば、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用で、最大3,000万円までの利益に対して控除が可能です。

また、損益通算と繰越控除という制度によって、売却の赤字と給与所得を合算し、年間の所得を小さくできます。赤字が年収超えの場合、控除しきれない額を翌年の年収と合算して、最大3年は節税可能です。

節税に関する法律は、年度によって詳細が変わったり、新しいものができたりします。国税庁の公式サイトで最新情報のチェックをしましょう。

保険は途中解約して返金

火災や地震の保険を年払いなどで先払いしている場合は、途中解約をして返金を受け取ってください。戸建てを売却しても、保険は自動的に解約されません。引渡し日が決定したら、保険会社に問い合わせをして手続きを進めておきましょう。

返金される額は基本的に日割り計算ですが、引渡し前の解約は避けたほうがよいでしょう。

戸建て売却をする際の疑問

最後に戸建ての売却で、よくある次の疑問について解説します。

  • 相場より極端に高額でも売却はできる?
  • 相場以下でも売却できないときはどうする?
  • 古い戸建てはリフォームしたほうがよい?

相場より極端に高額でも売却はできる?

戸建ての売却価格は相場よりどれだけ高額でも、同意してくれる人を見つけられるならば売却可能です。しかし、相場より極端に高額だと売却できる可能性は低いといえるでしょう。買い主はできるだけ安く買いたいのが心情で、極端な価格では内覧の問い合わせも見込めないでしょう。

相場以下でも売却できないときはどうする?

戸建ては、立地や築年数などによって0円でも売却できないケースがあります。そのような時は、不動産会社の買い取りの利用を検討しましょう。不動産会社が提示する金額で問題なければ、1週間程度で売買契約を結べるサービスもあります。

買い取りを実行する際の注意点は、仲介での相場の7割程度になってしまうことです。不動産会社はリフォームやリノベーションなどの手を加え、相場で売却しようとするため買い取り価格は安くなります。相場以下でも早期に現金化はできるので、維持費の負担からは解消されます。

古い戸建てはリフォームしたほうがよい?

古い戸建てでも、リフォームはリスクがあります。費用をかけても買い主が見つかるとは限りません。また、かかった費用を売り出し価格に上乗せして相場を超えると、余計に売却の難易度は上がります。

リフォームをする場合は、一度不動産会社に相談をしてください。自己判断で工事をしてしまうと、取り返しがつきません。費用対効果を慎重にシミュレーションしてからでも遅くはないです。

まとめ

戸建ての売却相場は、首都圏で2,559~5,006万円、その他の地域で1,451~2,046万円(2023年上半期のデータ)です。実際に売却する際は、不動産一括査定サイトや過去の売買事例、不動産ポータルサイトを活用して、最新の相場を調べましょう。

相場は築年数や立地、建物・土地の面積などで決まり、長期的には上昇傾向です。しかし戸建ては築年数による価値の減少幅がマンションより顕著のため、早期売却を検討したほうがよいです。

少しでも相場に近い価格で戸建てを売却するためには、スケジュールに余裕をもって不動産会社を厳選することを心がけましょう。

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